まあ、ちょっと悩んでるのが、XPERIA X Performanceを買おうかどうかということぐらいで、本音を言えば5.2インチのSnapdragon820搭載スマホだったわけで。
この配置だとどう考えてもステレオスピーカーを連想すると思うんですが、画像にも書いたとおり、左がマイク、右がスピーカーと分かれています。そりゃ価格帯を考えればモノラルなのもわかるんですが、こういうフェイクは結構惑わされてしまうので、やめてもらえるとありがたいかなあと思ったり。
さて、トータル的に見れば、4コアのSnapdragon S4ProやS600などと同等のスコアを見せています。Blade S6の時もそうでしたけど、優等生ではないものの、それ相応のスコアを出すため、一見問題なさそうに思えるんですね。
う~ん、画面が大きすぎるんだよな。マジで。
つうわけで、画面の小さいスマホです。
今回はTCL 3S M3Gという廉価帯スマホをご紹介。
そもさん、TCLとは何者?
中国では最大手の家電メーカーで、日本で言うパナソニックみたいなものだと考えてください。ただ規模が違い過ぎますがw
最後に残った実験機材
今更感はあるんですけど、このクラスのスマホではどんなことができるか?という実験です。今までさんざんハイエンドからミドルエンドのダウンサイジング化をすると、どうなってしまうのか?という話を延々と書きましたけど、その完結編です。
2月に入り、円安が加速し、2/12には一時110円後半だったと思います。この時にM3Gもタイムセールを行っており、119ドルというとんでもない価格で売られていました。
今回はGearBestで速達を選び、結果として10日程度はかかったものの、約14700円(税込)にて購入できました。まあ、現状でも144ドルという値段なので、廉価帯スマホに入りますね。
スペックは以下のとおり
Snapdragon 615 1.5GHz(Cortex-A53)+1.0GHz(Cortex-A53)オクタコア
2GB LPDDR3
16GBストレージ
5.0インチFHD IPS液晶
IEEE802.11acデュアルバンド対応無線LAN
Bluetooth4.0/GPS
3050mAhバッテリー(交換不可)
1300万画素リアカメラ
microSDXC対応(確認する限り64GB)
LTE B1/B3(国内対応バンドのみ)
139.6×69.6×8.9mm 130g
はっきり言ってこのレベルがローエンドに来ない日本はおかしい。
世界的にはMTK6735やSnapdragon616などが1万円の価格帯でガンガン出てきているというのに、富士通やシャープがS410なんかでまだ作って、そこそこ売れてるんだから特殊な市場というのも分かります。
ともあれ、15000円のスマホといえば、UPQ Phone A01Xやfreetel Priori3などになるわけですが、スペックだけでは太刀打ち出来ない。こちとら一つランクが上で、しかも液晶や無線LANなどはハイエンドでも通用しますからね。
外観は某アレです。
ホームボタンの左右にそれぞれ戻るボタンとタスクボタンがあります。
Blade S6と大差ない感じなのですが、こっちはそれっぽく光るので、わかりやすさはあります。
右サイドにボリュームと電源ボタンがあり。
そこまで問題なく画面端まで使えるのがポイントです。と言うより画面占有率がそこら辺のスマホ以上に高く、サイズの割に親指だけで完結できる範囲が広いという大きなメリットがあります。
あと、本当にパッと見で液晶が非常に美しい。IPSの中でも一つ抜きん出ているんじゃないかというぐらいコントラストが鮮やかです。まあ、5インチFHDという高精細な部分も生きてるのかなと思ったりしますね。
そして、実に巧妙なフェイク。
この配置だとどう考えてもステレオスピーカーを連想すると思うんですが、画像にも書いたとおり、左がマイク、右がスピーカーと分かれています。そりゃ価格帯を考えればモノラルなのもわかるんですが、こういうフェイクは結構惑わされてしまうので、やめてもらえるとありがたいかなあと思ったり。
動作に関しては、ベンチマークテストの後で考察します。
やっぱり中華スマホ、何重にも張り巡らされた罠
さて、トータル的に見れば、4コアのSnapdragon S4ProやS600などと同等のスコアを見せています。Blade S6の時もそうでしたけど、優等生ではないものの、それ相応のスコアを出すため、一見問題なさそうに思えるんですね。
実質的な体感としては、アプリの起動がS600クラスより遅く、登場から1年を経過した今でも厳しい感じは否めないです。ヌルヌル(S810)→サクサク(S801)→ノロノロ→ガクガク(S4デュアルコア)ぐらいの体感で行くと、ノロノロといったところでしょう。毎度のことながら、ベースがS4ProのKaritクアッドコアであるS600/800系と、Cortex-A53クアッドコアであるS410の発展型としてオクタコアになっている差が如実に出ていると言っても過言ではないと思います。(CPU-Zのボードモデルを参照)
あと、このノロノロ感に拍車をかけるデフォルトアプリの数々が更にイラッと来るわけですね。大体上のCPU-Zを見ていただくとわかるんですが、標準アプリですでに3GB以上も取られているんです。これだけたくさん入っているにもかかわらず、表面化してるのがそこまで無いというのが謎です。
更に輪をかけて、例えばGoogle Playを起動すると何故かChromeが開き、アプリが勝手にダウンロードするというような悪質なものが仕込んであるのが評価の悪さに直結している気がします。調べてみるとAndroid Service(おそらくGoogle Adsenseあたりを強制的に通るように処理追加してる感じ)を直接すり替えてそういう仕様にしているという、おそらくはTCLに広告料が支払われるように強制組み込みしている感じなんだと思います。
まあ、なんつかデフォルトのままで動かしてもそこそこなのに、Androidサービスを書き換えたうえで、ユーザーにどんどん広告を表示させ、あわよくばお金を稼ぐとかいうのは、問題外な気がします。MeizuやLeECOなどのようにハイエンドモデルでは独自のサービスや販路が展開できるから問題ないのでしょうが、中国最大手の家電メーカーがこんな巧妙な仕掛けを作っている事自体、モノ作りの恥ともいいましょうか。
いや、中華タブまで含めると結構いろいろなの使ってるけど、イラッと来てroot化してアプリ全部消すなんて作業をするのは、Android2.3以来な気がする。
なので、素のAndroidという点では、明らかに100ドルぐらいで売ってるLTE対応のスマホのほうがサクサク動いてしまうと思います。MTK6580程度のモデルでしょうか。
で、kingrootなるワンクリックrootソフトをインストールし、アプリとサービスをごっそり消して、ようやく本領発揮といったところでしょうか。
ここまで来ると相当サクサク動きますので、日常に耐えうるだけのスマホにはなります。
ちなみに、CyangenOSとかに書き換えてしまおうかと思ったんですが、ブートローダーアンロックをどうしてもやるのが面倒なので、結局初期のROMを使ってます。
これは日本語に完全対応している上、フォントもしっかり出てくるんですが、残念ながらアップデートがなく、これっきり(Android 5.0.2)になるので、そこは残念なところです。
まるで通用しないリッチコンテンツ
肝心のゲームについてですが、
デレステはまず3Dで動かすことは絶望的です。いろいろなMV設定を試してみた限りでは、最軽量となる3D軽量/紙吹雪なし/歌詞なし/30fpsなどでも、フレーム落ちしてそうな感じなのが問題です。2Dでも時折ガクガクするなどの問題もあり、タップ音もどう合わせてもタイミングに合わないといった、本来のハイエンドモデルどころかS4Pro搭載のXPERIA ZLなんかにも及ばない状態です。
間違ってもデレステをやることを考慮している方は、これを買うとおそらく後悔します。
若干ゆるいですが、魔法科高校の劣等生LZなんかでも、通常メニュー画面の3Dキャラが面白いぐらいカクカク動きます。デレステの動作なんかと推測していくと、描画できるんだけどそれを連続して動作させることが厳しいんだと思います。必殺技エフェクトなんかでもまともに動作しないとか、これはこれで斬新w
これでいて、ぷちきゃらでゲームは進むので支障はないというか、まあゲームとしてどうなのか?って気がしますね。
そして定番のクレタク。
ガッツリ遊ぶには物足りない感じはしますが、これに関しては特に遊べないレベルではないです。ただフレーム落ちは結構するので、その点をどう判断するか。
さらに追試ということで、Live2Dならどうなるか?と思ってめざましマネージャーをインストールしてみた。今回はいつも使ってるアスナさんじゃなくてlikoを入れてみたが、これはこれで追随もよく、特に3Dモデリングには影響なさそう。
無駄に最近オリラジのアレにハマっているので、Youtubeを再生してみましたが、720pぐらいまでは全然余裕です。
昔テストで取っておいた手持ちのMPEG2-TSとかはソフトウェア処理で再生してみましたが、こっちは厳しいですね。案外動画もハードウェアデコードできないとかなり厳しいかなと。
あと、普通にChromeのスクロールだったりでもガクつくときがあったり、なかなかスリープから復帰しなかったりするところ、快適ではないかな。ギリギリ可という感じ。
一応、これハイエンドモデルでも使われているようなSoCなんですよ。マジでこんな感じなんですけど、各メーカー的にはどういう言い分なんですかね。
技適さえなんとかなればまだまだ日本にはいる余地はある
さて、まとめに入る前に。
問題があるとすれば技適なんですが、これのせいでハードルが高い。
この辺はお役所仕事だと思うんですが、意外に厳しいと思うんですよね。例えば根回しだったりとか、日本はその辺が海外以上に厳しいので、いかにしてパイプを作るかだと思います。
まあ、そうは言ってもアドウェアなんかを仕込んでるというのは問題だし、いろいろな意味で日本市場に投入するには厳しいと言わざるを得ないです。
多分XiaomiとかMeizuとかが日本になかなか入ってこないのはこういった新興企業がなかなか日本市場では認められない、こと中国の企業ではそういう偏見がまだまだ強いです。
では、スペック面で見てみるとどうでしょう。
はっきり言って基準となる150ドル程度のスペックではない、SIMフリースマホの中ではハイエンドに入るレベルでしょう。ALCATEL IDOL3に近く、価格帯では4万程度のモデルです。SAMURAI 極に若干劣るレベルで、2万弱しかしない。SAMURAI 雅のクラスでその上を行ってるのだから、攻めようもないという話です。
いま日本市場で本当に狙うべきはこのスポットなんですよね。ガラケーが大体今3万なのだから、3万ならスマホにお金を出してもいいという人もいるはずでしょうし、もっと海外メーカーがこぞって技適をクリアしてきてもいいと思うんですよね。
で、今年のどこかのタイミングでGoogleが中国に再上陸します。素のAndroidを搭載する機種だけではなく、特殊なUIを持ったAndroidにもGoogle Playなどのサービスが利用可能となり、技適コストと天秤にかけて売れる見込みがあれば、ローカライズなしでも行けそうなものです。
これはメーカー側の経営戦略室で考えられることなのと、日本のギーグ層をあまり舐めていただきたくないという意味合いがあるのかなあ。どこか参入してるメーカーにはその甘さというか、舐めプというか、イマイチ日本に乗り気ではないところが見えちゃうんですよね。ASUSみたいにZenfone2以降どんどんスペックが落ちてるメーカーもありますし、Helio X10をハイエンドSoCみたいな扱いにしちゃってるメーカーもありますし、そこら辺がいまいちギーグ層を取り込めず、結果的に独自で販路を求めちゃうんだろうなと思うんですよね。
あとは、ハイエンドが平等に行き渡った世界で、こういうモデルがどこに居場所を求められるのかが問題かなと思ったり。そこは厳しいですね。
130ドル程度でやれることは決まってる(まとめ)
まとめる気があんまりないですけど、正直130ドルじゃなくて、本気で29800円だったら即売却というレベルです。通常使用に支障はないですが、ゲームであまりにパワー不足が顕著で、少なくとも日本市場であれば、まだS600搭載スマホ、それどころかS4Pro搭載スマホに快適さでは負けちゃいます。この前ヤフオクで4800円で202Fを落札したんですが、そっちのがずっと快適です。2013年の夏モデルより劣るレベルのスマホを日本人は3万なり4万なりで買うと思われてるんですから、舐められてるとしか言いようが無い。
言わずもがな、上記のテスト結果と簡単な体感を見ていただく限り、リッチコンテンツを利用する機会があるなら、iPhone5以降か、2013年春以降のクアッドコアスマホを買ったほうが絶対にいいです。ジャンクだろうがなんだろうが、コンテンツだけならそちらのほうが優れています。4800円で頑張って202Fを落としたり、それじゃなくてもドコモのツートップあたりのスマホなんて2万あったら買えてしまいそう、いやそれどころか2015年モデルもギリギリ視野に入れることができそうな気がする。
言い換えれば、130ドルなんてスマートウォッチすら買えないですから、おもちゃとして考えた場合、研究機材として考えた場合なんかに、面白半分で買うのが非常にいいかもしれません。
あとは、最近HTC J Oneも買ったんですけど、巨大化するスマホにおいて5インチ程度のFHDスマホというのは案外しっくり来て、液晶が綺麗だなという話です。
XPERIA Xをあえて5インチFHDで投入するというのは、そういう細かいレベルの話で行ける判断がされている可能性、あと男女兼用への対応の上で、意外にもメリットはあったりします。ことXPERIA Z5 Premium、Meizu Pro5やNexus6、LeTV MAXなど大型スマホがひしめく我が家において、XPERIA ZL以上のスペックを無難に収める5インチのスマホが新品で130ドルで手に入るというのは、色んな意味で大きいですね。
難点を敢えて言えば、結構落としやすいこと。それとケースやフィルムが日本では手に入れにくいことでしょうけど、まあこのぐらいなら割り切れるので、しょうがないと思うことにしようかと。
概ね値段に対する価値感には満足しています。あとは、日本でも手軽にこの値段でこのスペックのスマホが買えるようになったら、なんら不満はないですけどね。
さあ、日本よ。来たるべき世界に、どう立ち向かう?
おしまい