今回は、後先考えずIYHして、気づけば手元にあったLG G Flex2のレビューです。
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開けると本体
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付属品
標準で日本語がある(フォントはおかしいけど)
ようこそ画面
背面はこんな感じ
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Z4と記念撮影

LG脅威のコストパフォーマンス機

さてね、今年の4/13のblogの最後にチラッと「欲しいのはHTC M9かG Flex2」と書いたように、前々から買おう買おうと思い、さらに3ヶ月後の7/14のblogには300ドルを切ったら買ってしまおうというアホな決意を書いています。
実際に300ドルを割ることはなかったんだけど、EXPANSYSで4万を切ったことと、Android5.1.1への素早い対応に興味を持ったのと、本当にS810はダメなのか?という疑念を払拭するために、とズラズラ書いたんだけど、本音はいろいろドロっとしたものがあって、ストレス発散のために買っています。

この商品のすごいところは、これを書いている時期にSnapdragon810搭載機としては破格の3.9万程度(現時点では1Shopmobileで309ドル)という驚異的なコストパフォーマンスの良さであることです。このクラスは中華スマホでも5~6万と高く、まして国内ではS810搭載機はXPERIA Z4とAQUOSスマホ各種、それとまた伝説を作ってしまったF-04G、HTC Butterfly3ぐらいなもの。これらは一部ヤフオクなどで4万台にはなるものの、S810の悪評もあって、そもそも購入者が圧倒的に少ないのが現状でしょう。

気になるLTEの対応は?

実は、339ドルあたりから、日本ではおそらくいちばん詳しいWeb上の情報だったそうすけブログ.comさんが公開している情報を熟読してたのですが、その中で「LTEには対応していないのでは?」という記事がありました。
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結果。(到着直後、1度めの起動で勝手にV10cにアップデートされたあとのもの)
ちなみに、この後数時間をかけて5.1.1までアップデートがかかりましたが、現在のV15b-HKG-XXでは、以下のSIMカードで動作確認できる夢を見ました。
  • ドコモの音声通話SIMカード(moperaU)
  • ドコモのデータ通信SIMカード(moperaU)

ま、当然ながらSPモードはダメだね。
MVNOはちょっと手元にSIMがないので、なんとも言えないです。仕方ないから買ってくるかな。

電波は入るものの、SoftBankの4Gスマートフォン用SIM、mineoではAPN設定でモバイルネットワークがONにならない(今回はガチで使うので、裏メニューをいじって、初期化は避けたかった)ので、使えないっぽいです。SBMもしくはauのVoLTE対応カードを持ってる人間が周りにいないので、そっちに関してはなんとも言えないです。(誰かiPhoneのSIMをください)

まあ、ちなみに、
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海外ではVoLTE対応しているようです。国内のVoLTEはちょっとわからないです。が、正直な所VoLTE対応SIMとかじゃないとモバイルネットワークすら使えないっぽい。

毎度思うんだがSIMフリーなんだからLTEの全バンド使えても別に問題無いと思うんだよね。B18とかB19とかB28とかB41とか。


諸説あるスペック

LGにありがちなこと。同じ型番同じモデルなのにメモリとストレージの容量が違うという不思議なことがよくあります。G3の時には、ROM2GBもしくは3GB、ストレージ16GBもしくは32GB(ROM3GBは32GB固定)の3パターンが存在したというのはあまりに有名な話です。
例にもれず、基本的には以下の様なスペックとなります。

Snapdragon 810 2GHz+1.5GHz
メモリ 2GB LP-DDR4
ストレージ 32GB
5.5インチ有機EL液晶、フルHD
縦149mm×横75.3mm×幅7.1~9.4mm(接地面を0として筐体の最高点まで)
152g 3000mAhバッテリー内蔵
無線LAN 11ac(433Mbps接続確認)/n/a/b/g、Bluetooth4.1
1300万画素カメラ+レーザーAF搭載
ハイレゾ単体再生対応(24bit/192kHzまで)

ちなみに、海外では3GBメモリや16GBストレージのバージョンもキャリアによってはあるようです。
無線LANに関してはDual Bandという表記もあるので、最大867Mbpsでの接続も可能だとは思います。LG独自のノックオンやノックコード機能、例にもれずQuickCircleケースも存在します。


困ったことと、おおむね解決したこと

先に困ったことだけ書いておきます。

まず、メモリが2GBのうえ、OSのメモリリークのせいで、アプリが起動しないとかよくあります。5.1.1でも起こるので、素直にメモリ容量が足らないんだろうなと解釈しています。まあ、とはいえこまめにアプリを閉じたりすればいいだけなので、運用でカバーというところです。

あと、NFCをオンにしてると常時背面のLGロゴの下あたりが熱いので、どうせ使わないから切ったら問題なくなりました。これも謎なんだけど、そういえばZ4もおサイフケータイだったりFelicaだったり使ってないので、NFCをオフにしたらあんまり発熱しなくなったんですよね。これはS810搭載機の問題かもしれない。


すべての個体でこんなことが起こるかどうかはわかりませんが、充電しながら無線LANに接続するとUIが落ちて壁紙設定が元に戻ったり、電源を入れるとバージョンアップ終了後も毎回アップデートの処理が入ったり、なんだかよくわからない謎の現象に見舞われました。
また、ノックオンでは画面表示出来るのに電源ボタンでは画面表示出来ないのに電源ボタン長押しすると液晶表示出来て電源メニューが出てきたりと、珍しくLGにしては超不具合機種だなと思いました。

原因は以下の2つ。
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「画面色調の自動補正」(画面設定内)をオフ、「ゲームの最適化」(バッテリー設定内)をオンにすると、なぜかこの現象がなくなります。
もともと両方オンに設定されているのですが、これを両方オフにしてもダメ。ゲームはやるので、ゲームの最適化はオンにしたらほぼ問題なくなりました。

画質補正機能自体はSoC側でもサポートしているのですが、SONYみたいな独自エンジンを積んだ場合、ソフトウェア処理で対応する可能性が高く、素直にハードを生かしてないのかもしれない。
(自社SoCを載せているExynosやKirinでは画質補正機能はSoC側で100%処理出来るようにチューニングされてるので、そんなことは起きないのだろうと思う)

あくまで推測の域ではありますが、自動補正に対するCPU処理とゲームの最適化の処理を同時に行うとき、本来どっちかのコアが全部処理してしまうはずが、A57+A53に変更になったことで、どっちかの処理をA53側でやろうとして、切り替えをうまく出来ないか、あるいはA57側が全部やろうとして、熱暴走するパターンなのかなと思います。
じゃあ、その処理を両方カットした時になぜ同様の現象が起こるか?というのは、やっぱりよく分からないですね。

熱暴走っぽいことはやっぱり起きますね。
これといって何かな感じはないんですが、ポケットの中でやたら熱くなってる時はだいたい電源が落ちてる感。
これが起こった時に気づいたんだが、CPU-Zの表示では
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平常時(待受状態)
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コア温度が55度を超えた時のリビジョンが「r0p2」。
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コア温度が55度を切ると「r1p1」に切り替わる。

注目したいのは、Architecture(アーキテクチャ)のCortex-A57とA53の順番がリビジョンで違う点。前者はA53の1.5GHz、後者はA57の1.5GHzとなる。

データを総合すると、Snapdragon 810は
  • 平常時はピーク時2GHz(400~2000MHz)のA57コアで動作する。A53側は待機状態。
  • 45度ぐらいを境にピーク時1.5GHzへクロックダウンする。
  • 追加処理能力が必要な場合に、A53側のクロック上昇。一時的に2GHzのA57+1.6GHzのA53によるヘクタコア動作を展開。(ただし、全てのコアがフルクロックではない)
  • 45~50度を境にA57側の上限が1.6GHzにスイッチ。
  • 55度を超えるとA53側に処理が切り替わり、リビジョンがr0p2に変わる。
  • 55度を割ると、再びA57側を起動、リビジョンがr1p1に戻る。
  • 60~65度程度で強制電源オフ。
こんな感じの動作じゃないかと思われます。

こう考えた場合、r2p0というA57のみ使用するリビジョンというのも存在しそうな気がするんですが、S800のリビジョンにr2p0という物があるので、(ちなみにS801シリーズはr2p1、S805はr3p1というリビジョン)もしかしたら今後のSoC動作に追加される可能性はまだあるかもしれない、というレベルなのだと思います。

あらためてZ4でもテストしてると同様の動作をする感じなんだけど、A57側がほぼ平時1.6GHzで表示され、ゲーム起動後でよほど負荷がかかると2GHzまで上がるという感じなのかと。この辺りがメーカーごとの味付けなんだろうなと思います。
G Flex2は常時2GHz上限で動作してるんで、いざ温度を下げようとしたら完全に間に合わない感じなのかな。

もう何種類か手に入ってじっくりいじってみると、もう少し詳しく何か分かるかなとは思うんだけど、まだまだ先の話ですね。


ベンチと温度に関して
Antutu ver5.7.1 64bit
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Quadrand SE
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3DMark
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おおむねZ4より数値が似たり寄ったりですね。(SoC同じだからしょうがないね)


実際の使い勝手に関して

というわけで、2週間ぐらいいじってましたけど、平時のWeb閲覧とかに支障をきたすことはなく、あくまで「音楽を聞きながらゲームをやる」とか、2つ以上のアプリが起動した状態でのメモリ不足によるアプリ強制終了は適時あります。
Android2.3の時代に使ってたOptimus 2Xとかでもメモリ不足によるアプリ強制終了や起動しないといったような似たような話があったとは思うんで、LG伝統の先進的技術導入時の慢性的エラーなのだと思います。LG Homeが悪いのかもね。
(ちなみに、iOSもだけど、基本スマホのOSってアプリが起動しなくなるまで空きメモリがなくなることは理論上ありえないと言われています)
ちなみにisai FLの時もメモリ不足の話を書いているんですが、友人がLGのスマホって本当に必要最低限で作ってあるという話をそういえばしてたなと思い出しました。
時代からすると、GALAXY S5とかXPERIA ZL2とか、そこら辺はもう1年も前からメモリ3GBなんですよね。まだ4.4が主流で、OSを割り当てても、空きメモリが贅沢にも1.5GBあって驚いた。まだ1年前なんだな。
isai FLがメモリ2GBで、解像度もWQHDだったこともあって、絶対的に足らない状況であったのは間違いないんだけど、その後isai VLがメモリ3GBを搭載してたり、海外のG3にもメモリ3GBモデルがあったんだから、LGの内部でも技術的に搭載出来たと思うんですよね。当時はコストを考えると見送るぐらいだったのかなあ。

それ以上に、何だろこの手に馴染む感。フィットするのではなく、馴染むという感覚。お分かり頂けますかね。(気になってフィットと馴染むの意味合いを調べてみたんだけど、動詞のFitではなく、be attach toというイメージがふさわしいのかな) LGL23の時にも思ったけど、このカーブって色々計算しつくされて作られてるので、ここで言うまでもないとは思うんだけど、明らかに他のスマホより落としにくいというが最大のメリットだったりする。が、ポケットに入れづらいとか、ノックコードOFFが普通のメニューにはなかったりするんで、勝手にアラートで画面ONになり、フリックロックとかにしておくと、ポケットの中から音楽が流れ始めたりとか、そういう珍事もあります。
運用で十分カバーできるし、筐体の使い勝手で言えば初代G Flexやisai FLより確実に使いやすくなっています。
縦にしても横にして両手持ちをするにせよ、持ちやすさを最重要ポイントに考えると、オムニバランスデザインとか、GALAXY S6 Edgeスタイルよりこっちのほうが明らかにいい。追随するメーカーがないのが不思議なぐらいです。

錯覚的な話ですが、この曲がりで5.5インチ液晶ですと言われると、そんなものなの?という感じは初代以上にあります。丸みがあってなんとなく上下が長かった初代とは違い、G3以降のカクカクデザインと狭額縁仕様も相まって、画面がすごく大きく見える。たまたまかもしれないけど、デザインとギミックの作り出した妙、その錯覚として凝縮されています。
さらに、メニューバーの表示をアプリによって消すといった機能(画面→ホームタッチボタン→ホームタッチボタン非表示アプリ選択)も端末にあり、アプリ側の対応抜きで非表示に出来るのは大きなところ。

えー、問題がもう一つ。ガラスフィルムを使っているのですが、この機種でガラスフィルムは、カーブしているが故に、無駄にフィルム側にキズがつきやすいです。0.33mmのものを今回つけているのですが、構造もあってか、ちょっとしたキズがどんどん拡大していっています。もし、今後安いから買ってみようとか思う方は、普通の保護フィルムのほうがいいかもしれません。(俺も割れてから考えよう)


果たして、8万円の価値はあったのか?そして失敗作だったのか?

まず、結論ありきで言うと、そこまでの価値はなさそうです。
S810のファーストロットという価値を考慮するとなくはないとも考えられるんですが、いかんせん出足でつまづいたまま処分されはじめたという、不運もあると思います。
でも、(上記の問題があるからあんまり大きな声では言えないですが)すくなくともこれが4万だったら、普通にこれを買うだろうという製品レベルには十分達しています。ただ、処分された商品というのは、基本価値がないというのを何度も言っているように、これは明らかな失敗作だったと思います。
だから、4万なら買う。5万でもある程度は考える。6万じゃちょっとなあって感じがします。8万じゃ当然ないです。


しかしながら、真の価値はこの筐体にあると考えれば、ブラッシュアップされた斬新さ(言葉がおかしいけど意味的には間違ってないはず)に8万というのもうなづけるかなと思います。ズルトラには悪いですが、現状で売られているスマホの中で、これだけ手に馴染んで使いやすいスマホはないです。Z3やZ4でも及ばないです。少なくとも、XPERIA ZLと首位を争える馴染み方ではあります。例えるなら、ZLが過去から来た未来のスマホなら、G Flex2は近未来から来た未来のスマホです。
何を未来と捉えるか、という問題もありますが、未来のスマホはこうあるべきというモデルケースがG Flex、それを突き詰めるとG Flex2になるんじゃないかと。
偶然ながら、XPERIA Z5 Ultraは出ず、5.5インチのXPERIA Z5 Premiumというモデルが登場します。結局6.4インチには未来はまだ来ていません。同じくエッジスクリーンという未来を見せたGALAXY Note Edgeも、GALAXY S6 Edge+という今風のエッジスクリーン機能(ショートカットを持たせることが出来るらしいが)に発展しました。
発展的といえば聞こえはいいですが、残念ながら6.4インチ薄型筐体も、情報ウィンドウとしてのエッジスクリーンも1世代限り。僕が求める未来は、次々と過去になってしまいます。

故にどんなスペックであれ、G Flex3を出し続けて欲しいという願いは、僕の中ではあります。
あわよくば採算度外視で、アルミの筐体だったりすれば、表面積の大きいという特徴もあって、発熱的に厳しいS810や、同様に発熱が厳しいと噂されるS820でも十分真価を発揮するんじゃないかとは思うんですよね。(そういえばHTC One M9ってのがあったなw)


そういえば、「未来で待ってる」「うん、すぐ行く」ってやり取り(細田守版時かけ)がありましたね。
もしかすると、受け入れられる土壌がなさすぎるだけで、G Flex2は未来で待ってたスマホなのかもしれないですね。




バケモノの子?ああ、確かにスペックモンスターだな。


おしまい。