今回は、久々に廉価帯スマホということで、AQUOS Wish2 SH-51Cの実機レビューをご紹介します。
S480からS695へパワーアップした、スケールメリットの犠牲
まず、このAQUOS Wishシリーズの概略に関して説明。
ベースとなるのが、2022年1月発売のAQUOS Wish。これはS480を搭載した廉価モデルということで、いわゆるサブブランドや楽天モバイル、更にはMVNO向けSIMフリーモデルも登場しているという、なかなか広範囲での販売がされています。
しかし、突如として第2弾が2022年の6月に発表され、なんとSoCがS695を搭載という、廉価モデルなのにミドルエンドSoCを搭載してしまった、わけがわからないAQUOS Wish2が爆誕。
初代Wishの販売終了の理由として、S480の入手が困難になってしまったことや、同じくAQUOS Senseシリーズで搭載していたS695を大量導入し、そちらを搭載してしまったほうが、スケールメリットを得やすいという状況となり、こちらはドコモ、au、ワイモバイル、UQでの販売がされました。
これを書いている現在でも、S695に変わる新たなS6シリーズが登場しないことなどを考慮すると、スペックだけならミドルエンド相当に近いモデルではあります。なお、カメラが今どき珍しいシングルのため、いささか歪なスペック構成になってしまっているところが否めないです。
今回購入したドコモ版はシングルSIMのため、非常に安価(8,000円)で販売されていますが、他社モデルではeSIMを搭載しており、デュアルSIM構成が可能となっています。この点で、プレミアム価格になりやすいところが特徴です。SoCだけならXPERIA 10 VやReno 7Aなどに引けを取らないモデルとしては、破格ではないかと思います。
なお、後継モデルとなるAQUOS Wish3に関しては、SoCがMediaTek Dimensity 700となるため、実質的にはS480よりはマシだけど、絶対的なパフォーマンスで劣るという感じなることが予想されるため、サブスマホや予備スマホとして買っておくというのも悪くないと思います。
なお、オーディオに関しては以下の画像も参照
S695搭載の恩恵を思いっきり受けてる感じです。サイズを考えるとストリーミングも出来て、microSDによるオーディオプレーヤーとしての使い方も十分可能かなと思います。
S695搭載は伊達じゃない。堂々たるベンチマーク結果
※ドコモ系、及び不要なアプリを削除、ホーム画面をAQUOS Home、バッテリー駆動時のスコアです。初期出荷状態ではここまでスコアは出ません。
3DMarkはSling Shot Extremeで以前記事にしたことがあったので、参考程度に出しておきました。
まあ、ありきたりなS695スマホのスコアが出る感じです。とはいえ、よくもS480ベースの筐体にS695を積めたなと、ちょっと褒めてあげたくなりますね。
使用感など
液晶の問題、HD+だからなのか、60Hzのスマホをいじることが少ないからか、ちょっとわからないのですが、気持ちスクロールがガクガクする感じがします。FHD+のLibero 5G(S690)では起こらない現象なので、スペックではなく何か違うところでの問題なのかなと思ったりしています。
個人的にサイズ感はいいのですが、ボタンの配置が、これ素人が考えたの?というような感じで、上からボリュームボタン、Googleアシスタント、電源ボタン、指紋認証センサーという配列になっています。手持ちとして、やや下部を持つのがホームポジションなのかなと思います。反面、小さいとは言えど、ボリュームボタン、Googleアシスタントボタンと電源ボタンが等間隔に空いていることが影響してか、Googleアシスタントを起動してしまうことが結構あります。電源ボタンの形が多少変わっているので、その点で差別出来ていると感じるのですが、やっぱり配置が不自然な気がします。なぜ、敢えて指紋認証センサーを下に下げてまでこの位置に付けたかったのかが謎です。まあ、XPERIAでも通った道なので、そこら辺はうまく誤魔化せばいいのにと思いますね。
あと、USB PDに対応して、ワットチェッカーで最大15Wまでの急速充電は確認したのですが、その時の排熱が間に合ってないところに不安を感じます。充電で発熱した自機の熱でサーマルリミッターが発動して、パフォーマンス低下や充電速度低下などが普通に起こる。おそらく、このスマホを使ってなんとなく不満に感じてる人の大半は、そういう使い方をしているんじゃないかと。
ボディが再生プラスチックを利用しているため、確かにメタルボディと比較すると排熱しずらい環境なのかなと言うのが一つ。あと、XPERIA 5 IVの時にも書いたような気がしますけど、スマホの基盤の配列上、どうしてもカメラ横にSoCやメモリ、ストレージが密集する関係で、熱が滞留しやすく、そこに対して背面全体で冷やす機構などが特にないことが問題なのかな。ゲームをプレイしててサーマルリミッターがかかるのは仕方ないにしても、正直充電に対する排熱に関しては、不満が残ります。
若干手を加えたと言えど、おそらくはWishとWish2で大きな冷却機構の変化はなかったんじゃないかと思うんですよね。外観もまったく変わらなかったわけですしね。スケールメリットの弊害と書きましたけど、シャープの想定では、このスマホは本来S695ではなく、S480相当にデチューンされたS695として動作するものと考えているのであれば、パフォーマンスの低下はある程度説明が付くんですけどね。
まあ、あとバッテリー持ちはさすがにシャープだなと思える感じですね。地味にHD+の液晶を使っているので、バッテリー容量が若干少なくとも問題ないように工夫されてるのが立派だなと思ったりします。急速充電問題があって、それ以上にならないところがつくづく惜しいですね。
事情がわかった人が、確信犯的に買うべきスマホ。最初の1台にはオススメしずらい。
まとめとして、割とピーキーな感じは否めないです。要はこういうモノとして理解した人じゃないと、これを買っても得したと思えないのですよね。ハナからS695スマホが欲しいなら、XPERIA 10 IVとかReno 7Aを買ったほうが、よほど頑張ってくれると思います。
価格もずば抜けて安いのはドコモ版が中心となるので、予備のスマホとかに1台ぐらい持っていても、悪くない選択肢かなとは思います。正直、定価でも高いと感じることはないと思いたいですね。
ドコモ版の評価がずば抜けて悪い理由は、単純にdocomo Live UXだったり、アプリがてんこ盛りで入っていて、それがバックグラウンドで処理しきれていないところに問題点があるのと、シングルSIMで有ること。後者に関して大した問題じゃないと思うんですけど、他社モデルは一応他のキャリアのプラチナバンドを網羅してるので、違うキャリアのSIMを同居させられることにメリットがあるんですよね。その辺で大きく利便性が変わってくるんじゃないかと思うんです。
アプリはもう仕方がないですが、ドコモのUIに関しては開いた口が塞がらないレベルで処理が重いです。これはUIの設計思想が昔からハイエンドをターゲットにしてるからであって、GALAXY A53なんかのミドルエンドモデルですら、One UIに変えないと遅くて使い物にならないレベル。これをどうやったらローエンドモデルで快適に動作させられるのかを考えていない人が作ってるUIなんですよね。自分のところのサービスを最大限利用してもらいたいという気持ちが分からないわけでもないけど、それを決めるのは利用者であって、キャリア謹製のUIではないということ。それによって端末メーカーの評価も下がってしまうことを良く考えて実装してほしいと思ったりします。まあ、絶対にやめないよね。
ということで、8,000円の価値はあるけど、そこにたどり着ける自信がある人向けということで締めておきたいと思います。間違っても最初の1台で使わせてはいけません。
おしまい
S480からS695へパワーアップした、スケールメリットの犠牲
まず、このAQUOS Wishシリーズの概略に関して説明。
ベースとなるのが、2022年1月発売のAQUOS Wish。これはS480を搭載した廉価モデルということで、いわゆるサブブランドや楽天モバイル、更にはMVNO向けSIMフリーモデルも登場しているという、なかなか広範囲での販売がされています。
しかし、突如として第2弾が2022年の6月に発表され、なんとSoCがS695を搭載という、廉価モデルなのにミドルエンドSoCを搭載してしまった、わけがわからないAQUOS Wish2が爆誕。
初代Wishの販売終了の理由として、S480の入手が困難になってしまったことや、同じくAQUOS Senseシリーズで搭載していたS695を大量導入し、そちらを搭載してしまったほうが、スケールメリットを得やすいという状況となり、こちらはドコモ、au、ワイモバイル、UQでの販売がされました。
これを書いている現在でも、S695に変わる新たなS6シリーズが登場しないことなどを考慮すると、スペックだけならミドルエンド相当に近いモデルではあります。なお、カメラが今どき珍しいシングルのため、いささか歪なスペック構成になってしまっているところが否めないです。
今回購入したドコモ版はシングルSIMのため、非常に安価(8,000円)で販売されていますが、他社モデルではeSIMを搭載しており、デュアルSIM構成が可能となっています。この点で、プレミアム価格になりやすいところが特徴です。SoCだけならXPERIA 10 VやReno 7Aなどに引けを取らないモデルとしては、破格ではないかと思います。
なお、後継モデルとなるAQUOS Wish3に関しては、SoCがMediaTek Dimensity 700となるため、実質的にはS480よりはマシだけど、絶対的なパフォーマンスで劣るという感じなることが予想されるため、サブスマホや予備スマホとして買っておくというのも悪くないと思います。
かんたんなスペック
Snapdragon 695 (2.2GHzx2、1.8GHzx6)
メインメモリー 4GB
ストレージ 64GB(UFS2.1)
5.7インチ HD+(1520*720)有機EL液晶
無線LAN 11ac(433Mbps対応)/Bluetooth5.1
アウトカメラ1300万画素、インカメラ800万画素
指紋認証センサー、Googleアシスタントボタン、USB type-C端子
NFC搭載、Felica/おサイフケータイ対応
モノラルスピーカー/イヤホンジャック/LDAC,aptX Adaptive(24bit/96kHz対応)
nanoSIMスロット x1
microSDスロット x1(最大1TB)
防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X)
3730mAhバッテリー/PD急速充電(15W)
147 x 71 x 8.9mm 163g
Android 12→13
5G
n28/n77/n78/n79
4G
1/2/3/5/8/12/17/18/19/39
3G
1/2/5/8
なお、オーディオに関しては以下の画像も参照
S695搭載の恩恵を思いっきり受けてる感じです。サイズを考えるとストリーミングも出来て、microSDによるオーディオプレーヤーとしての使い方も十分可能かなと思います。
S695搭載は伊達じゃない。堂々たるベンチマーク結果
※ドコモ系、及び不要なアプリを削除、ホーム画面をAQUOS Home、バッテリー駆動時のスコアです。初期出荷状態ではここまでスコアは出ません。
3DMarkはSling Shot Extremeで以前記事にしたことがあったので、参考程度に出しておきました。
まあ、ありきたりなS695スマホのスコアが出る感じです。とはいえ、よくもS480ベースの筐体にS695を積めたなと、ちょっと褒めてあげたくなりますね。
使用感など
液晶の問題、HD+だからなのか、60Hzのスマホをいじることが少ないからか、ちょっとわからないのですが、気持ちスクロールがガクガクする感じがします。FHD+のLibero 5G(S690)では起こらない現象なので、スペックではなく何か違うところでの問題なのかなと思ったりしています。
個人的にサイズ感はいいのですが、ボタンの配置が、これ素人が考えたの?というような感じで、上からボリュームボタン、Googleアシスタント、電源ボタン、指紋認証センサーという配列になっています。手持ちとして、やや下部を持つのがホームポジションなのかなと思います。反面、小さいとは言えど、ボリュームボタン、Googleアシスタントボタンと電源ボタンが等間隔に空いていることが影響してか、Googleアシスタントを起動してしまうことが結構あります。電源ボタンの形が多少変わっているので、その点で差別出来ていると感じるのですが、やっぱり配置が不自然な気がします。なぜ、敢えて指紋認証センサーを下に下げてまでこの位置に付けたかったのかが謎です。まあ、XPERIAでも通った道なので、そこら辺はうまく誤魔化せばいいのにと思いますね。
あと、USB PDに対応して、ワットチェッカーで最大15Wまでの急速充電は確認したのですが、その時の排熱が間に合ってないところに不安を感じます。充電で発熱した自機の熱でサーマルリミッターが発動して、パフォーマンス低下や充電速度低下などが普通に起こる。おそらく、このスマホを使ってなんとなく不満に感じてる人の大半は、そういう使い方をしているんじゃないかと。
ボディが再生プラスチックを利用しているため、確かにメタルボディと比較すると排熱しずらい環境なのかなと言うのが一つ。あと、XPERIA 5 IVの時にも書いたような気がしますけど、スマホの基盤の配列上、どうしてもカメラ横にSoCやメモリ、ストレージが密集する関係で、熱が滞留しやすく、そこに対して背面全体で冷やす機構などが特にないことが問題なのかな。ゲームをプレイしててサーマルリミッターがかかるのは仕方ないにしても、正直充電に対する排熱に関しては、不満が残ります。
若干手を加えたと言えど、おそらくはWishとWish2で大きな冷却機構の変化はなかったんじゃないかと思うんですよね。外観もまったく変わらなかったわけですしね。スケールメリットの弊害と書きましたけど、シャープの想定では、このスマホは本来S695ではなく、S480相当にデチューンされたS695として動作するものと考えているのであれば、パフォーマンスの低下はある程度説明が付くんですけどね。
まあ、あとバッテリー持ちはさすがにシャープだなと思える感じですね。地味にHD+の液晶を使っているので、バッテリー容量が若干少なくとも問題ないように工夫されてるのが立派だなと思ったりします。急速充電問題があって、それ以上にならないところがつくづく惜しいですね。
事情がわかった人が、確信犯的に買うべきスマホ。最初の1台にはオススメしずらい。
まとめとして、割とピーキーな感じは否めないです。要はこういうモノとして理解した人じゃないと、これを買っても得したと思えないのですよね。ハナからS695スマホが欲しいなら、XPERIA 10 IVとかReno 7Aを買ったほうが、よほど頑張ってくれると思います。
価格もずば抜けて安いのはドコモ版が中心となるので、予備のスマホとかに1台ぐらい持っていても、悪くない選択肢かなとは思います。正直、定価でも高いと感じることはないと思いたいですね。
ドコモ版の評価がずば抜けて悪い理由は、単純にdocomo Live UXだったり、アプリがてんこ盛りで入っていて、それがバックグラウンドで処理しきれていないところに問題点があるのと、シングルSIMで有ること。後者に関して大した問題じゃないと思うんですけど、他社モデルは一応他のキャリアのプラチナバンドを網羅してるので、違うキャリアのSIMを同居させられることにメリットがあるんですよね。その辺で大きく利便性が変わってくるんじゃないかと思うんです。
アプリはもう仕方がないですが、ドコモのUIに関しては開いた口が塞がらないレベルで処理が重いです。これはUIの設計思想が昔からハイエンドをターゲットにしてるからであって、GALAXY A53なんかのミドルエンドモデルですら、One UIに変えないと遅くて使い物にならないレベル。これをどうやったらローエンドモデルで快適に動作させられるのかを考えていない人が作ってるUIなんですよね。自分のところのサービスを最大限利用してもらいたいという気持ちが分からないわけでもないけど、それを決めるのは利用者であって、キャリア謹製のUIではないということ。それによって端末メーカーの評価も下がってしまうことを良く考えて実装してほしいと思ったりします。まあ、絶対にやめないよね。
ということで、8,000円の価値はあるけど、そこにたどり着ける自信がある人向けということで締めておきたいと思います。間違っても最初の1台で使わせてはいけません。
おしまい