今回は、ソフトバンクの投げ売りの恩恵に預かる形で買った、AQUOS Zero2 906SHの紹介です。
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ハイエンドクラス最軽量を目指した、AQUOS Zeroシリーズ
まず簡単にこのZeroシリーズの成り立ちに関して。
S835系の時代で一時的な完成形を見た16:9のスマートフォンでしたが、回線の高速化によるリッチコンテンツへの対応や、ゲーミング特化などという方向性、そしてその際たるものが、液晶アスペクト比の雑多化により、S845搭載モデルは、各社ともに難産なモデルが多く、おそらくはGALAXY S9ぐらいしかまともなスマホにならなかったという感じです。この世代を代表するモデルといえば、XPERIA XZ2/3シリーズ、AQUOS R2、初代ROG Phoneなど、新機軸を打ち出そうとするモデルが多数出ました。
ちょうど同じ頃、シャープの中でOLEDの開発が進んでいました。おそらくは、ハイエンドモデルに何らかの形で搭載したいという思いはあったんでしょうけど、AQUOS R2のときには間に合わず、IGZOの液晶パネルを使っています。
多分、このOLEDを搭載するにあたり、普通の液晶パネルのスマホより軽いものが作れないか?というところから始まって、AQUOS Zeroという形で具体化したのだと思います。146gというインパクト。他社が6インチクラスで200gを切ればそこそこと言った中、この軽さは大きな武器となります。販路も当初はソフトバンク専売、後にSIMフリー版も登場します。しかしながら、初号機であるゆえ、リフレッシュレートは60Hzと、従来シャープの液晶が得意としてきたリフレッシュレートの高速化対応という点では、まだ改良の余地がありました。その他、カメラがシングルだったり、別途指紋センサーを付けたりと、軽さを重視した結果、そこそこの廉価帯モデルでSoCのみハイエンドという、実際に不便はないけど数字の競争で負けてしまっている感は否めませんでした。
ただ、なにか確信を得られたのか知りませんが、シャープはここで諦めず、Zero2の開発を行います。この時は多分IGZO搭載をRシリーズ、有機EL搭載をZeroシリーズとして、交互にリリースしていくという感じで考えていたのではないかと思います。
ピーク時のリフレッシュレートが240Hzで動作する有機ELパネル、そして8GBメモリと256GBストレージ、SoCはハイエンドらしくSnapdragon855を搭載し、カメラもツインカメラになるなど、国内メーカーのスマホとしては、カタログスペック上では最高、それでいて、最終的に141gという軽さに仕上げたのが、今回紹介するAQUOS Zero2です。
決してコンセプトは間違っていなかったのですが、結局2020年に入ってから発売され、ほぼ同時にコロナ禍という不運、さらに総務省の値引き縮小命令、加えて3月には5G世代のモデルもリリースされたこともあり、華々しく国内の3キャリアでの取り扱いがあったにも関わらず、完全に存在を消されたモデルになってしまいました。2ヶ月後にAQUOS R5Gが発売されてしまったことも、不運としかいいようがありません。

その後、おそらくは有機ELモデルにZeroの名称を使うことに決めたのか、AQUOS Zero 5G basicという、ミドルエンドで、全く軽くない(182g)モデルをリリースしています。3があるのか、あるいはS865搭載モデルが出るのかはわかりませんが、このブランド名は宙ぶらりんな状態になっているようです。

かんたんなスペック
Snapdragon 855 2.8GHz(4コア)+1.8GHz(4コア)
メインメモリー 8GB(LPDDR4X)
ストレージ 256GB(UFS3.0)
前面6.4インチ FHD+(2340x1080) 240Hz駆動、HDR10対応OLED液晶
無線LAN WiFi5 (11ac、867Mbps対応)/Bluetooth
1220万画素/24mm(メイン)/2040万画素/16mm(広角レンズ)
800万画素インカメラ
USB type-C端子
LDAC、aptX HDコーデック/TWS Plus/aptX Adaptive対応
nanoSIMスロット x1
3130mAhバッテリー
NFC/おサイフケータイ搭載
防水(IPX5/IPX8)/防塵(IP6X)
158 x 74 x 8.8 mm 141g
Android 10.0

906SHに関しては、LTEバンドが異様に多く、
Band1/3/8/11/18/19/28/41/42(国内対応バンドのみ記載)

とりあえず、ドコモ、au MVNO、Rakuten(B3のみ)での動作は確認。
初期のファームではドコモのSIMでは19や28は掴めなかったのですが、アップデートをすることで、追加対応しているような感じです。Band21のみ、ドコモ版のSH-01Mしか対応していないので注意。


申し分ない使い勝手、一方で気になる点も数多く。
まずゲーム。
(2020/10/01現在・インストールおよび動作確認用垢にて起動まで確認)
ラブライブ スクールアイドルフェスティバル
バンドリ ガールズバンドパーティ
アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ
アイドルマスターシャイニーカラーズ(enza版/アプリ版)
刀使ノ巫女 刻みし一閃の灯火
マギアレコード
きららファンタジア
ポケモンGO
ドラゴンクエストウォーク
プリンセスコネクト Re:Dive
スーパーロボット大戦DD
ミニ四駆 超速グランプリ
この素晴らしい世界に祝福を! ファンタスティックデイズ

魔法科高校の劣等生 LOST ZERO(6.0 ローカル版)
ときめきアイドル(2.0 ローカル版)
ラブプラス EVERY(オフライン)

まあ、そもそもがnubia Z20で動いていれば、ほぼ快適に動作するという感じです。ストレージはZ20がUFS2.1だったのが、Zero2ではUFS3.0になっていますが、ゲームのロード時間などで多少は効果があるような感じです。
XPERIA 1 IIほど動作と動作の間みたいなものが埋まるわけでもないですが、体感で比べると、コンマ数秒程度のレスポンスの違いはあると思います。まあ、この辺が気になる人はそもそもXPERIA 1 IIもZero2も持っている人です。普通に使うぶんにはノンストレスです。

ただ、気になる点として、デレステで、スライドからのロングノーツなんかで、タッチ切れを起こすシーンが見られます。貼っているTPUフィルムのせいなのかもしれないですけど、ほぼ同じところで切れるため、自分の腕ではないかなとは思っています。たいてい、音合わせはStage Bye Stageでやるので、よほどタイミングが合わないモデルでもない限りはフルコン出来ますが、体感8割ぐらいでタッチ切れが起こる感じです。(ロングノーツからスライドがクロスするあたり)
あと、ロングノーツが左右で続くような譜面でも、隣り合っている場合は片方が突然切れたりするような現象が結構多いです。2点以上のタッチ動作で失敗してる感じが多いです。
困ったことに、最近買ったmoto g8では、そのあたりの譜面は、両方とも100%コンボをつなげるので、(仮に個体差だとしても)ちょっとこのレベルでは厳しい気がしますね。

あと、音を出してプレイするとわかるのですが、タッチタイミングがプレイ状況で大きく異る点も要注意です。例えばタイミング調整で+16に音合わせしたあと、違う曲をプレイするとまるで合わないので、また音合わせをすると+11になるとか、多分バックグラウンドでのタスクキルに関係しているような気がします。シャープのゲーミング設定を切ってもあんまり変わらないあたり、これはどこを修正すればいいのかがわからないです。(ちなみに、AQUOS Rではこの辺の問題はなし、Zeroでもスライドでタッチ切れ起こる感じはあるけど、タイミングは一定)


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参考までにZero(右)との比較です。Zeroにはガラスフィルムを貼っているせいで、ちょっと映り込みがありますけど、まあ、たしかに縦に長くなっている感じです。
使い勝手というか、手の収まりはZeroのほうがいいです。ただ、持って使い場合になると、Zero2のほうが断然いい感じです。

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ちなみに背面ですけど、どうも高さ的な問題なのか、Zeroの指紋センサーとカメラを間違えて触っていることが多いです。XPERIA XZ2でも同じようなことはありましたね。中華スマホは、コンパチに見えて、実は割と計算されているんだなとちょっと感心しました。
一方のZero2は、高級感のあるブルーとなっています。これはこれでいいですね。

カメラは割愛。オーディオもステレオスピーカー搭載ですが、XPERIA 1 II以前なら十分だと思ったかもしれません。まあ、中華スマホのような、左右の位置ずれのようなものはないので、聞いてて悪くないと思います。

デレステの慣れはともかく、この端末が投げ売りされる理由は、前モデルと同じく結構ピーキーな点にあるんじゃないかと思います。良くも悪くも、AQUOS Zeroの時には没個性が功を奏する感じで、あまり欠点として見られていなかった感じがあります。
2台ともそうなのですが、ピークパフォーマンス時かつ、急速充電を行っているときに、パフォーマンスを優先するあまり、熱により給電が停止し、本来ならサーマルスロットリングなんかで強制冷却をするはずが、そのままピークパフォーマンスを維持してしまいます。そのため、ゲーム中にスマホが強制シャットダウンという可能性もなくはないです。Zeroのときは頻度はそこまでなかったのですが、それでもゲームでのピークパフォーマンス+急速充電時で、バッテリー充電が停止してしまい、しばらく熱を冷ます必要がありました。この頻度が、Zero2になってから多くなりました。冷却機構を強化しても、これだけ薄いとやっぱり放熱が厳しいのだと思います。
HSパワーコントロールみたいな機能があれば、一番いいんでしょうけどね。

あと、有機ELで消費電力減を狙っていたはずが、思ったより消費電力が下がらず、3130mAhのバッテリー容量では心もとないというのも付け加えておきます。例えば、nubia Z20(3400mAh)で同じルーチンを1日やって、だいたい50%消費で済むところ、Zero2は75%程度の消費となり。仮にセルスタンバイ系の消費を考えたとしても、たかだか300mAh程度の容量でのバッテリー持ちが20%も多いのは気になる点です。ちなみに、Zeroでは同様のルーチンをこなして、60%程度消費しています。両方とも言えることなんですが、IGZOパネルの省電力性があまりに凄すぎて、有機ELはまだ改善の余地が大きいとも考えられるし、さらに言えばZero2では、リフレッシュレートの高速駆動を目的として、わざわざWQHD+程度からFHD+程度まで解像度を落としても、4倍速で動いてしまえば、結局2倍程度のバッテリー容量は必要になってくるというわけですよね。

更に気になるのは画面内指紋認証で、親指だけ両方とも2つ登録してるんですけど、それでようやく快適に認証出来る感じです。良くも悪くもXPERIAのサイドセンサーは機能的に悪くないんだなと思ったりしますね。

軽さを得たいなら、全てを飲み込め。141gという軽さは、それをすべて飲み込んでこそ、得られる世界なのだろうと思います。ゲームのプレイ時間が長ければ長いほど、軽さは大きな武器になります。でもバッテリーどころか、給電が足を引っ張ってしまう。給電に問題がなければ、本当はそれで構わない気がしますけど、いざこのバッテリー消費を考えると、少し早すぎたコンセプトだったのかもしれないかなとも思います。

まとめ
バッテリー切れに気をつければ、ハイエンドモデルの享受は十分受けられる、残念ハイエンド


全ては軽さです。これは本当に何者にも変えられない威力です。確かに通話とちょっとしたWeb閲覧だけだったら、2日ぐらいは持ちますから、存在としては面白いです。LTEバンド対応の豊富さも魅力です。
これ1台ですべて日常のタスクをこなそうと考えた場合には審議が出ます。あくまで、サブだったり、予備だったりで使うあたりが、ほんとうなら丁度いいのかもしれないです。スペックがそれを許さないのが、ちぐはぐさが出ています。なので、スペックを考えれば安い値段で買ってはいますけど、かなり満足度は低いです。ただ、中華系のスマホはこのサイズの液晶を搭載してると、5000mAhもの大容量となるため、200gを超えるモデルになってしまうのでしょうから、そこはやっぱり飲み込むしかないです。
本当だったらこれ1台で済むはずだっらZero2に、モバイルバッテリーを持つんじゃ、あんまり意味がないですよね。シャープが、もう少しバッテリーを担保に、10gぐらい重くして、給電周りがなんとかなってしまえば、それで解決しそうなんですけどね。

現在は33000円程度で推移していますけど、ハイエンド好きは買って悔いはないと思います。スペックを考えれば破格ですが、コレクションの1台程度が丁度合っている感じで、fps以外のゲームには、あまり向いていない端末かもしれないです。ただ、やっぱり軽いというのは、どうしようもない部分であるため、そこに活路を見いだせるかどうかで、このスマホの価値は決まるんじゃないかなと。

個人的には気に入っていますけど、やっぱりバッテリー消費はなんとか出来ないものかな。





おしまい