今回は、ソニーの5G対応スマホ、XPERIA 1 II (Mark.II) SO-51Aの実機レビューをご紹介。

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ブラッシュアップされた、XPERIA第4世代のフラッグシップモデル
国内リリース10年を迎えたXPERIAを紐解く上で、大きなモデルチェンジはしばしばあったものの、シリーズとして区分けをすると、以下のような感じになります。

  • (Windows Mobile版 XPERIA、2008~2009年)
  • XPERIA初期シリーズ(2010~2012年)
  • XPERIA Zシリーズ(Z~Z5シリーズ、2013~2015年)
  • XPERIA X/XZシリーズ(X Performance~XZ3、2016~2018年)
  • XPERIA 1シリーズ(1以降、2019年~)
名機と呼ばれるモデルはそこそこあるものの、試行錯誤の連続あり、モデル的には退化と進化を繰り返すような感じが多く、その点では他のメーカーに比べて、ユーザーが浮かべるイメージが異なると思います。
実際、頂点はXPERIA Z3ぐらいだと言われていますが、個人的には、ZL、Z4、XZ Premiumが好きです。それは何回も書いていることなので、くどくど説明することはしません。

そして2018年のXPERIAで、本当の底を経験することになります。形状に重さ、そしてカメラやオーディオ周りに至るまで、全てが噛み合わない、アンビエントフローデザインありきのモデルチェンジ。移り変わりの速いスマホ業界で、完全に1年を無駄にするという失態。数少ない次期モデルへの遺産もありつつ、この1年で終了します。

そして規模縮小の上で始まったONE SONYを具体化すべく登場した、XPERIA 1をリリースした2019年を経て、5G初号機のXPERIA 1 IIとなります。
XPERIA 1は執筆時には、まだ国内キャリアの3G契約変更向けに配っていますが、ドコモ向けは初期ロット完売するなど、市場としてはそこそこ好評だった形をさらに推し進めたような形となります。

ドコモ版は、au版に比べて、実に1ヶ月以上も販売開始が遅れるという珍しい展開となりましたが、Photographer Proのリリースを待っての、満を持しての販売開始となりました。(とはいえ、アップデート対応というお粗末な結果ではある)

XPERIA Zシリーズが好きだった人への、5G版XPERIA Zとなるモデル
薄くて、軽くて、ハイエンド。XPERIA Z4が目指した当時のコンセプトでした。実際、XPERIAのハイエンドに、Z4以上の薄さ、軽さのモデルは、Compactモデルを除いて存在していません。あれから5年の間、スマホは年々重量増を繰り返すものの、XZシリーズでも一つの頂点となるXPERIA XZ1の156gを達成。それからアンビエントフローデザインとなり、中でもXPERIA XZ2 Premiumに至っては238gという超重量級、しかしながらXZ2より小型の液晶を搭載するなど、サイズと重さが噛み合わないモデルが多く、これがZ3辺りからのユーザーへのアップグレードパスを閉ざしてしまったことも否めないです。

XPERIA 1は、そこをかなり詰めたのか、デザインもどこかZシリーズ初期を思わせ、重量も178gと、同世代のハイエンドモデルとしては、かなり頑張った重さとなりました。数少ないXZ3での改善点だった有機ELを4K、6.5インチ、そして21:9というアスペクト比にまで大きくしたディスプレイ。SONYはまだマトモなスマホを作れるという狼煙を上げたモデルでした。

しかし、これで終わりじゃなかったのが、今回のXPERIA 1 II。電源ボタン兼指紋認証センサーに戻し、デザインもさらにZシリーズに戻ったかのような板デザイン。XZ1以来となる3.5mmイヤホンジャックの再搭載と、XPERIA好きがこれでもかと願ったようなモデルを、5Gのファーストモデルに用意してくれました。ここまで徹底して原点回帰してくれたSONYに、素直に称賛しかないです。

スペックよりも、ラベンダーっぽいパープルボディが決め手
去年の1も、パープルが出るという話を聞いて、かなり心が揺らいだのですが、ちょっと色が濃すぎたのもあり、さらに言えば、コストパフォーマンス的なモノでnubia Red Magic 3を予定外に買うという事態も起こってしまったので、結果的に機会を逸してしまったわけです。去年は結局1月にXZ2 Premium、5月にXZ2 Compactを買いましたが、両方とも年をまたぐことはなく(というか、そもそも年をまたぐスマホというのが、それほど多くない)、XPERIAロスが割と長かったというのがあります。まして11月には、XPERIA XZ Premiumを売っているため、2020年にはS810のZ4以前のXPERIAしか所持していないまま明けるという、珍しい年またぎとなりました。(なおZ20とRM3の二台持ちだった模様)

明けて2月、何より値段の折り合いを付けて買おうと決心したのは、ラベンダーっぽい、薄いパープルボディが出るということでした。憎きXPERIA Aceでは存在した薄いパープルボディが、ハイエンドでも選択できるところが、大きなポイントです。
遡れば、XPERIA Z3もなんかむやみに海外からパープル取り寄せたし、XPERIA A2には未だに未練があるし、その辺り、初期のVAIOにも通じる感じから来るイメージなのかもしれません。

かんたんなスペック
Snapdragon 865 2.8GHz(1コア)+2.4GHz(3コア)+1.8GHz(4コア) +X55 modem
(Kyro585 Gold 4コア+Kyro585 Silver 4コア/Adreno 650)
メインメモリー 8GB
ストレージ 128GB(UFS3.0)
前面6.5インチ 4K HDR10対応OLED液晶
無線LAN WiFi6 (11ax、1200Mbps対応)/Bluetooth5.1
1200万画素/24mm(メイン)/1200万画素/16mm(広角レンズ)/1200万画素/70mm(望遠レンズ)
800万画素インカメラ
電源ボタン兼指紋認証センサー、USB type-C端子
ステレオスピーカー/3.5mmイヤホンジャック
DSEE Ultimate/LDAC、aptX HDコーデック/TWS Plus/aptX Adaptive対応
ダイナミックヴァイブレーション搭載(まだ付けるのw)
nanoSIMスロット x1/microSDカードスロット x1
4000mAhバッテリー/Qiによるワイヤレス充電対応(最大11W)
NFC/おサイフケータイ搭載
フルセグチューナー内蔵
防水(IPX5/IPX8)/防塵(IP6X)
166 x 72 x 7.9 mm 181g
Android 10.0

5G、LTEバンド、3G対応は公式(SIMロック解除後の海外バンド含む)によると、
5G n77/78/79
LTE 1/3/4/5/7/12/13/17/19/21/28/38/39/40/41/42
3G 2100MHz/850MHz

4GでもCAにより、下り最大1.7Gbpsという驚異的な速度が出るようです。確かに、常時3CA程度は電波を拾っているので、北区あたりでは、平均して実測20Mbpsぐらいで通信出来ています。

公式に5G/4G専用端末となっており、ドコモの3Gに接続が出来ない模様。
既存ドコモの4Gプラン、MVNO(Linksmate 4G)、およびRakuten UN-LIMIT 4G(SIMロック解除後)でも使用可能でした。(Rakutenに関しては、Band3オンリーなので、かなり制約はある)
ドコモのSIMに関しては、水色SIM以降なら認識は問題ないようです。

個人的には、4Gの通話端末としてどこまで行けるかというのを試す感じです。


余談、5Gエリアに関して
いつだか書いた覚えがありますけど、主要駅でもごく一部の場所でしか、5Gの普及はしておらず、結局のところ、5Gの恩恵を受けられるのは、ごく短時間ということになります。買って3日経ちますけど、4G以外の表示は出ないです。
今回はヨドバシカメラマルチメディア上野店という、都会の穴場的なヨドバシで契約したのですが、ヨドバシカメラの店内で5Gアンテナが置かれるのは、ドコモショップ機能のある店舗が優先になるらしく、開通テストも4Gオンリーという感じになっています。半ば、売っているほうも5Gスマホというよりは、端末指名買いなら売りますという、かなり不思議な状況になっているとのこと。新製品、ハイエンドなのに積極的に推せないというのは、LTE初期にはなかった気がします。FOMAの最初もそんな感じで、エリアがすごく狭かった記憶があって、やっぱり売る方は難しかったです。


レスポンスが向上、意外とデカイストレージ規格の進化
いつものベンチマークスコアは画像の通り。
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CPUのスコアが大幅向上しています。3D性能も驚くほどスコアアップしています。
スコア以上に感じたのは、とにかくレスポンスがいいことです。今までのメインスマホであるnubia Z20はUFS2.1で、これでも不満になることはないレベルでしたが、UFS3.0搭載となったXPERIA 1 IIでは、残像低減の効果もあったりするでしょうけど、応答速度がとにかく速いし、アプリ起動も速いです。どこにこれだけ速度を上げられる要素があったのかと驚くほどですね。

nubia Z20でもVoLTEでの通話は出来ていましたが、1 IIは驚くほどキレイな音声通話が出来ますね。固定回線にかけてもキレイに聞こえます。なんかよく覚えてないですけど、これってXZ2 Compactでもそうだったんだろうかな。


ゲーム。
(2020/06/21現在・インストールおよび動作確認用垢にて起動まで確認)
ラブライブ スクールアイドルフェスティバル
バンドリ ガールズバンドパーティ
アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ
アイドルマスターシャイニーカラーズ(enza版)
刀使ノ巫女 刻みし一閃の灯火
マギアレコード
きららファンタジア
ポケモンGO
ドラゴンクエストウォーク
ラブプラス EVERY
プリンセスコネクト Re:Dive
スーパーロボット大戦DD
ミニ四駆 超速グランプリ
この素晴らしい世界に祝福を! ファンタスティックデイズ

魔法科高校の劣等生 LOST ZERO(6.0 ローカル版)
ときめきアイドル(2.0 ローカル版)

毎度言いますけど、ときドルはローカル、スペック向上になった今こそ3D表示が超絶キレイに見られるという、ハード側の進化が一方的に体感できる面白さがあります。

21:9のアスペクト比が多少なりとも黒枠となって現れるゲームもありますが、個人的にはほぼ許容範囲です。無線LANもWiFi6に対応しましたが、それとともに、type-C経由で有線LAN接続にも対応しているようです。
筐体がギリギリまでフラットな特性が生きて、さらに残像低減効果により、デレステやガルパでの譜面速度調整も全曲ほぼ同じで問題なく遊べる感じです。(余談だけど、nubia Z20はこの辺がRM3のリフレッシュレート90Hzに比べて劣っていたので、AQUOS Rを買って遊んでたわけだけど)

しかしながら、21:9、6.5インチであるゆえ、横持ちの場合、とにかく手で左右をどうやって詰めようかというので、ちょっと思うところはあります。なかなか最適なハンドリングが見つからないです。

カメラは専門外なので、ここでは省略しますけど、XZ2 Premium唯一のいい点だったツインカメラより目で見てるぐらいの色相にはなります。ThinkPad P1の天面をズームして、しっかり細かいキズが見えたりして、使い方荒いのかなとガッカリするぐらいに高精細には写ります。

オーディオ
間違いなく、XPERIA最高と呼べる、オーディオデバイス対応です。3.5mmのイヤホンジャックに加え、aptX系の拡張機能も実装、さらにステレオスピーカーの配置もよく、これに加えて21:9のディスプレイで見る、シネマサイズのシン・ゴジラの良さ。映画はDolby AtmosをONにすると、没入感が高くなりますね。
今回は、さらにDSEEがXPERIA向けに進化したDSEE Ultimateを搭載しており、AI解析により、MP3を始めとする圧縮音源をアップスケーリングするという、一見するとDSEE HXと何が違うのかわからない機能があります。Bluetoothやストリーミング再生にも対応とのこと。確かに低ビットレートのMP3なんかがそれなりに映える音になるので、一応効果はあるようです。

で、肝心の音の傾向としては、SONYっぽい音と表現する他ない、ウォークマンのAシリーズ相当ぐらいの音は出ています。良く言えばキラキラ、悪く言えば派手な感じです。Hiby R6は音量を上げると、いわゆる音圧みたいなものも多少変わってくるのですが、こっちはそういう感じではなく、どこまでも音の強さみたいなものは変わってこないです。ただ、普通に聞くレベルの音量で、そこまでパワフルにする必要もないでしょうし、そういう点ではXPERIA向けに最適化された仕様なのだと思います。

そして、ようやくTM2のメイン機能の一つである、TWS Plusが使えるようになりました。
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こんな感じで接続されているようです。
この機能が地味に効果絶大で、山手線の車内はもちろん、土日の秋葉原ですらほぼ音が切れないというスゴさ。これまでは単なるMMCX用のアダプターという大義名分で使ってましたが、AKG N5005と合わせて、これからは晴れて接続性の良い、長時間利用出来るTWSとしてもうひとがんばりしてもらおうと思います。

バッテリーの持ちに関して
個人的には、ゲームをやることもあって、とにかく24時間持てば大丈夫だと考えているものの、割と長持ちする印象。これなら普通に使うぶんには2日ぐらいは行けるんじゃないかと。それでも実容量で5000mAhあったRM3なんかに比べると、余裕の2日ではないとは思います。
XZ2シリーズのように、Qi充電をして、サーマルスロットリングが起こることもありません。

その他、ちょっと気になる点として、SIMやmicroSDがしっかり収まらないことがあったりします。トレイにしっかりはまらないけど、まあ認識はしているので、今はいいです。


まとめ、XPERIAはまだ死んでないと再確認した偉大な一台となるはず
細かいことはさておき、XPERIA久々のヒットモデルであることは間違いないと思います。こういうモデルが欲しいというものを、完全にに具現化したと言っても過言ではないです。シンプルに、必要な機能をすべて詰め込めたという点で、SONYのXPERIAはまだ死んでないと再確認出来ました。
XPERIAが好きなら無条件で買っていいし、Zシリーズから抜け出せなかった人にも、ようやく2020年版のXPERIA Zとして、1 IIを受け入れることが出来ると思います。

強いてメインメモリとストレージ容量、ないしはDual SIMなどが欲しいというのはありますけど、メインメモリは8GB、ストレージに関しては128GBと標準的な水準であり、そこまで目くじらを立てるほどではありません。キャリア版ということもあり、Dual SIMは一部地域のモデルに限定されていますが、どうも海外版でもドコモのVoLTEは行けるっぽい感じらしいのが、唯一心残りではあります。

今回は5G世代の初期ということもあり、比較的安く購入出来て、通信もテスト済みのドコモ版を購入しましたが、今後は海外版Dual SIMモデルでもいいのかなと思ったりします。10万そこそこ、と聞くと案外高い感じもしますけど、これだけあからさまにレスポンスが良ければ、スマホに対するストレスもほぼ感じないようになるので、精神衛生上の観点では、安い買い物とも思います。
とはいえ、これだけ決定打となるモデルを出してしまった以上、5 IIの出来も気になるところですし、何より今後しばらくはこれ以上のXPERIAが出るとは思えないのですよね。それはそれでいいのですが、この路線をブレずに継続出来るかどうかという点が、今後のXPERIAの大きな課題となるのではと思います。


とりあえず、今はこの名機を所持しているということに満足して、キレイにレビューを締めたいと思います。




おしまい