
今回は、2019年7月ぐらいからLenovoのオンラインで販売されている、ThinkPad P1 Gen2の実機レビューをご紹介します。
モバイルワークステーションという、奇妙で魅力的なThinkPad
このレビューにたどり着いてる人が大体考えてることは一緒だと思います。
「ちょっとしたゲーミングPCで、ThinkPadだから欲しい」の一点です。
今までのワークステーション系ThinkPadは、基本Xeon Eシリーズなんかも搭載しているのですが、P40系を除きほぼテンキーありというTシリーズやEシリーズに近いモデルです。上位モデルにはQuadro RTXシリーズという、GeForce RTXシリーズに当たるものを搭載し、代わりに冷却機構がゴツくなり、2.5キロ程度(P53)と、2019年現在において、重いノートPCという部類に入ってしまいます。
ただ、基本はデスクノートという扱い、省スペース化によるものであり、ほぼ固定して使うレベルのPCが中心となっています。まあ、この辺はどこのご家庭でも最後に行き着く先は大画面ノートという感じだろうかなと思います。
20年来のThinkPadユーザー、とりわけPという形式には、やはり特別なモデルという意味合いは強く、2桁ThinkPadシリーズの末尾にpがついたモデルは、DELLのPrecisionとともに、市販されているノートPCでも究極に近いスペックでした。僕はこの印象がとりわけ強い世代です。
かつてはQuadro FX3800を搭載したW701dsなどという大真面目なバカワークステーションノートPCを作っていたLenovoなら、アホみたいなThinkPadを作ってくれると信じていました。しかし、これが2012年を最後に、W700シリーズは一時的に途絶え、その後、世界初のXeon搭載ノートとしてP70が登場。スペックだけを考えれば今のP73がその末裔となるわけです。
しかし持ち運びを考慮すると、案外選択肢は少なくなります。
例えばThinkPad P40系、これはいわゆるThinkPad Tシリーズの上位モデルに当たるものですが、中位クラスのQuadroを搭載しており、GeForceで言うMX250ぐらいのモデルです。これはやがて第10世代Coreシリーズ版も登場するでしょうが、普通のモバイルPCのハイエンド程度ということにはなるかと思います。
そんなヌルいPCはいらない、ThinkPadというノートPC究極のレガシーを受け継ぎ、6コアのCore i7やある程度上位に近いGPUを搭載した、ゲーミングデバイスとして使えるというジレンマを抱えたPCは出ないものか?と。
2018年の6~7月頃、そんな中でThinkPad X1シリーズの更に上位モデルの存在が海外のサイトで噂となり、それがX1 Extreme 2018となるのですが、同時にそれをただQuadroに置き換えただけのP1というモデルも存在することが発覚し、日本ではP1が先に発表されます。
Core i7 Hシリーズ(45w)にGeForce GTX 1050Ti MAX-Q/Quadro P2000、15インチUHDでありながら、テンキーなしのキーボード(後述)。これだけでスペシャル感があるのに、たった1.8キロの重さの中に収めてしまうという暴挙。それまでMSIのGSシリーズ(と、これをベースにしたショップ系PC)一強だった、軽量15インチゲーミングノートの理想的な選択肢として登場しました。
基本的にPCって一括で買うものなんですけど、この時はローンを組んで24回ぐらいで買おうとか延々とblogに書いていました。問題は今どきのPCでありながら、20万強から始まる価格設定です。MSIなら15万でアップグレード用のメモリとSSDも買えるぐらいなのに、ベーシックモデルで24万程度。この付加価値をThinkPadへのお布施として出せるか?という点を、悩みに悩んでいました。
結局、X1 ExtremeもP1もGen1シリーズでは値下げということはなく(瞬間的な値引きはあったにせよ)、2019年7月にはGen2シリーズ、現在の9世代Coreシリーズが発売されるのですが…
どうしてもX1 Extremeが欲しい、からたどり着いたP1
Gen2は、ThinkPadの2世代目でありながら、大幅にパワーアップしたことが印象的でした。9世代のCore i7 Hシリーズに、なんとGeForce GTX 1650 Max-Qを搭載したのです。1世代目は、当時でも随分枯れたGeForce GTX 1050Ti Max-Qを搭載していました。
丁度いい選択肢がなかったといえばそれまでですが、調べてみると2017年の6月頃にMax-Qデザインがリリース。通常版は2017年の1月頃に発表されています。2年近くの間、nVIDIAのノート向けGPUは停滞したままだったのですが、今年になり、RTXシリーズをリリースし、ようやく世代交代をしたということになります。実は、2018年のGen1リリースの時点で、GeForceのモデルチェンジの話は出ていて、これが2019年の早い段階になるはずという予測が立っていました。Gen1を躊躇した理由は、枯れた1050Tiよりは、不具合込で性能向上した2000シリーズを待つほうが懸命ではないか?ということも大きかったわけです。
結果として、2000シリーズの1650 Max-Qを搭載したので、躊躇する理由はなくなりました。
が、やはり問題はその価格です。
上記の通り、今日日15万でこのクラスのゲーミングノートは購入可能なのです。それでも初動から20万そこそこ、交換できるメモリとSSDには最低限の選択肢が可能で、かつUHD液晶を搭載となると、どんなに頑張っても25万をわずかに切るという状態。ここに追加のメモリとSSDとなると、30万近い出費です。まあ、拡張するメモリやSSDはどうとでもなるんですが、本体はどうすることも出来ないので、これをどうにかして安く上げる方法を色々考えたわけです。
ふと、X1 ExtremeとP1のカタログスペックを見てたときに、Quadro T1000という文字を発見しました。Quadroの素性ははっきりとわからないのですが、Lenovoおなじみの同コアBIOS認識による性能制限版ではないかと仮設を立ててみました。性能としては、Quadro T2000>GeForce GTX 1650 Max-Q>Quadro T1000で、GPUコア含め全く同じ構成。ただGPUコアクロックだけをBIOSレベルで調整しているのではないかと思いました。この考え方、昔W500を買って、CPUを入れ替えたことがあったんですけど、その時に搭載されていたのが、本来のMobility-FireGL V5000でなく、RADEON HD 3650だったという経験より考えたものです。
本当は、Quadro T2000はCUDAが1024コア、T1000は768コアと3/4。更にGPUDirect for Videoという機能が削除されているらしいのですが、この点を考慮した場合、やっぱり無駄にT2000であるべきだったなという若干の後悔はあります。他にコアクロックも1650には及ばないなど、若干の無理くり感はあります。
しかし、購入前にベンチマークスコアだけ見てると、Max-Qデザインの3製品に関しては、5%程度の差ぐらいで収まるぐらいのスコア変動だったので、ならばとばかりにT1000で同じ構成をした場合、おおよそ3万円近い差が出たわけで、よし買おうってことになりました。
もちろんそんなに一気にお金を出すわけにも行かず、結局24回の分割で購入、そこにメモリとSSDは総取替ということで、やっぱり最終的には25万そこそこになってしまうのでした。
思った以上に軽い、1.7キロの衝撃
というわけで、今回買ったのは以下の通り
Intel Core i7 9750H(6コア、定格2.6GHz)
メモリ DDR4-2666 8GB→32GB(16GBx2)
SSD 256GB(Intel 660p)→512GB(Silicon Power P34A80)+1TB(Intel 660p)
UHD(4K) 15インチIPS液晶/Quadro T1000
その他、有線LANアダプターなし(ありで+5,400円)
Windows 10 Home→Pro(既存IDの流用)
なんか購入直後から大規模変更をしたPCなんですが、ここ1年周期ぐらいで2世代遅れぐらいのThinkPadを中古なりジャンクなりで買って、普通に治して使っていた感じなので、新品のPCというのは、多分SONYが出したVAIO Fit 15A(i7-4500U/3Kタッチパネル液晶)まで遡る感じです。
(ちなみに中華のA8やJumper X1も新品だったけど、前者はほぼ自作状態、後者は使わず売却というw)
ぶっちゃけ、過剰です。けど、2年後もハイエンド仕様にする場合、不自由なくしようと無駄に考えています。
メモリは正直32GBもいらないのですが、前に使ってたThinkPad Yoga 370は16GB1枚だったので、2枚入るなら2枚買ってしまえという判断。その半月後ぐらいに32GB1モジュールが1枚2万程度で出回ってきたので、さらに拡張するかちょっと悩むところ。同じく512GBのSSDと、空いたスロットに当初収まるべきだった1TBのSSD(Transcend E110S)がチップ両面実装タイプで、片面実装タイプしか入らないということもあって、素直にIntel 660pをデータ用に再購入しました。これもシステム用とは別に、2TBなり4TBなりの片面実装タイプM.2が普及帯になったら、交換はしたいです。
メインのP34A80は、スピードも4Xの最大値に近く、発熱が非常に小さいので、かなり満足です。一方、データ用とはいえ、Intel 660pはたまに熱暴走を起こし、PCがフリーズする現象があります。個体差もあるとは思いますが、それにしても660pがこんなに不安定なのかと疑問。600pは凄まじく安定していたぞw
余談ですけど、今回Lenovo純正パーツの中で、SSDはIntel 660pの256GBが付いていました。出荷タイミングなどの問題もありますが、モバイルワークステーションを冠しているモデルに、QLCのSSDをメインストレージに実装しちゃうのは、あまり褒められたものではないですね。

(参考にP34A80のベンチ結果、書き込み速度おかしいw)
有線LANコネクターですが、前にもどっかで書きましたけど、ThinkPad X1 Carbonなどと同じ、専用ピンによるコネクタです。X1 Carbon Gen3用に買ったコネクターで問題なく動作したので、これはこれで別にいいです。ちなみ今でも3300円でした。なせ標準メニューで入っていて、外すと5000円引かれるのかわからない。これに関しては、今後Thunderbolt3などで、10GbpsのLANコネクタなどが普通に出回り、家庭内で10Gbpsとか使えるようになれば、それもまたいいかな。あと無線LANはIntel WiFi6 AX200が標準。11ac Wave2を一足飛びした感じです。APがないので当面は11ac 866Mbps止まりですね。(とはいえ、Wave2対応の9260 HT160のYoga370もあるんだが)
パーツ交換前提で買った場合、非常に気をつけないといけないのが、パーツそのものの厚みです。ヒートシンク付きは基本NG、SSDに関しては片面実装タイプのみ対応です。(2敗)
メモリもDDR4-2666クラスならヒートシンクはいらないでしょうが、案外大容量メモリってゲーミングタイプのほうが安いんだよね。この辺下調べなしに買ったのが良くなかった。
なんかこのサイズで、これだけ軽くて、中身が詰まってると、FF3の学者の本みたくブンブン振り回したくなります。おそらく8ヒットぐらいはできるはずw
膝上でだいたい使ってるのですが、そこそこ熱くなります。そこそこFANもうるさいですが、最低限のCPU/GPUのおかげか、ファン全開でもTVつけてればそれほど気にならないレベル。どちらかというと、タイピングの音のほうが響いちゃう人なので、そのへんは感じ方にもよります。正直、ピーク時を保てるのであれば、このFANは必要として考えるべきじゃないかと思います。
あと、i7-9850Hではサーマルスロットリンクが起きるような情報もありましたが、i7-9750Hでそうなることは実質的にほぼない感じです。BIOS更新でそうなったのか、それともほんの少しのクロックで上限に達してしまうのかはわからないところですね。

ちょっと見えにくいですが、天板はカーボン柄が入っており、スペシャル感を出しています。
UHD(4K)液晶は、Adobe RGBカバー率100%のIPS液晶となっています。HDR10にも対応してるらしいです。写真ではそんなに変わらないように見えるとは思います。10年近く前に買ったVAIO ZのFHD Adobe RGBカバー率96%液晶にも驚きましたが、ハッキリ言ってこれを使ってしまうと、普通のIPS液晶では満足できなくなるぐらい、発色がいいです。めちゃくちゃいいです。出来ればこれでUHD BDとかを鑑賞するのがいいんでしょうけど、ドライブ1台で1万はちょっと躊躇する。
今はかなり数が少ないと思いますが、OLEDのタッチパネルUHD液晶も選択可能です。据え置きで使う、あるいは特にタッチパネル用途が多くないのであれば、IPS液晶で十分満足が行くと思います。
それとともに、底面のスピーカーの音もいい。ちょっと低音方向が強いですが、これもThinkPadとしては、破格の扱いだと思います。左右両サイドの傾斜にすっぽりハマるように大型スピーカーを配置できたことで、地味に効果がある。過去、ここまでThinkPadでスピーカーがいいと思ったのは、X2*シリーズのウルトラベースについてるもの以来かなって気がします。
そうはいったものの、HPだのDELLだののマルティメディアPCなどに比べれば、いいとは言い難いでしょう。ThinkPadの中ではいいですよってだけなのも注記しておきます。
全身をピーチスキン加工されたカーボンボディは、さすがに手の脂が乗ってくる年齢になってきた今では、ちょっと汚れが目立ちますけど、道具としての味がしっかり付いてくるという点で、案外いいのかもしれません。ただ、個人的には、パームレストなどよく汚れが付きやすいところは、Xシリーズのような、単なる黒塗りのプラボディやカーボンボディのほうが、道具として扱いやすいと思っています。
合わせて思ったのは、ボディ全体を使っているであろう排熱機構。全体的に熱くなる傾向があり、特にバッテリー稼働時でのパームレスト付近と、排熱口付近では、それほど大差ないレベルの熱さになっています。これを嫌う人もいるとは思いますが、そこでピーチスキン加工が生きてくるのかなと。
QuadroT1000って結構イケてるGPUなのでは?
Quadro T1000の実装されているモノは以下の通り。
シェーダーはなぜか896、コアクロックも750MHzとなります。Turing世代、TU117コアを使用しているため、ピーク時のはさらにクロックが上がります。
しかし、CUDAが896コア、TMUsが56と、本来のカタログスペックとは違い、若干性能が高い感じがあり、標準である1650シリーズとあまり差がみられないようです。ドライバーの最適化の差はあれど、1650 Max-Q程度と考えてもそれほど問題ないスペックじゃないかなと。

ちなみに大したゲームはやっていませんが、普通にA列車で行こう9はゴリゴリ動きます。
4Kで動作させるにはパワー不足は否めないですが、FHDぐらいに落としてあげれば、標準品質でも安定して60fpsぐらいにはなります。
安くなったらSAO:FBでも買ってやってみようかなって感じです。(NEWガンブレとは?w)
違和感を感じるキーボードのタイピング感覚
15インチには珍しい、テンキーなしのキーボード。これはテンキー付きノートPCが嫌いで、14インチ以下のノートPCを選んでいた僕の中で大きなこだわりがあり、そこに則った形です。(ちなみに選択肢は非常に少ない)この筐体でUシリーズのモデルがあれば、もしかするとそれだけで解決しそうな気もしないですが、まあ、スペック的に納得はしないですよね。
前述したとおり、ThinkPadはノートPC最大のレガシーであると思うのですが、一度だけアイデンティティを捨てて、他のノートPCへの歩み寄りをしたことがありました。世間一般で評判の悪かった、Haswell世代、Coreシリーズ4世代目のモデルです。
トラックポイントはあるけど、物理ボタンを実装せず、タッチパッドの該当箇所でその用途を果たすというものでした。時代の流れを考えれば仕方ないとも思えたのですが、この構成はこの一世代のみとなり、以後のThinkPadで採用されることはありませんでした。特にWシリーズではW540の次にあたるモデルにW550とは別の、W541という物理トラックポイントボタン搭載モデルが出たぐらい、重要な購買要素だったのだと思われます。
実は忘れがちですが、その1世代前の時代、6列のアイソレーションキーボードへの変更があり、この時代も賛否が出たモデルですが、他社がほぼ6列化してた時代、7列キーボードへのこだわりはそれほどなく、個人的にはそこまで目くじらを立てるようなことはありませんでした。
ただ、キーボードの作り、いわゆる叩き心地は、ある意味X201世代ぐらいをピークに、徐々に違和感なく悪くなってる気がしてならないのですね。
もちろん、Lenovoがキーボードを重要視し、そこにファンがたくさんいるのは当然として、じゃあ、他のメーカーのキーボードはダメか?というと、全体的にレベルが上がってきてるのではないかと思うんですよね。だから今は本当に叩き心地が悪いノートPCのキーボードって、2in1でやむなくギミックを搭載してるようなタブレット分離型のものぐらいじゃないかと思うんですよね。(この辺、いろいろなPCを使っている弊害なのかもしれない)
で、よくよく思い出してみたのですが、個人的感覚として、X1 Carbon(使っていた2014/2015/2016)はベストではなくベターな感じ、X250やYoga370はベストに近い感じ。この微妙な差が、なかなか払拭出来ないんですよね。
この点、P1はX1 Carbonのキーボードを流用していると言われていますが、これはこれでいいけど、Yoga370では「打ち込んでる」感が自分で感じられるけど、P1では「打つのに余計な力が入る」感を感じてしまうんです。この違和感の正体こそ、X1シリーズとX200シリーズの大きな違いだと思っています。X201s時代にあった、「打ってて気持ちがアガる」感覚に近いのは、Yoga370なんです。
P1だけに限ってみると、X1 Carbonとは違う打ち心地。多分、キーボードを押す力を受け止めるだけの剛性が、X1 Carbonでは足りなく感じてしまっていたんじゃないかと。薄型軽量モデルだからこその微妙な感じ方が違和感になってて、それがP1ぐらいのサイズになると解消できそうというのは、ハッキリ言って個人の好みとしか言いようがないのかもしれないですね。
ただ、この理論で行くと、Eシリーズなんかの据え置き前提モデルでは、より「打ち込んでる」感が出るんじゃないかと思います。普及モデルほど打ち心地がいい理論というのもおかしいけど、この辺は好みによりますね。
電源供給が追いつかない、135WのACアダプターしかダメ
付属は135WのACアダプター。ワークステーションなので、135Wなのは仕方ないとは思いますが、なんとなく90W程度でも問題なく行けるんじゃないかって気がしないでもないです。
...まあ、半分正解で半分ハズレで、いわゆるオフィス用途だけを考えた場合、というよりQuadro T1000に仕事をさせるかどうかで、90Wでは足りない状況が出てしまうということなんですね。かんたんな方法として、BIOSでIntel UHD 630を切って、Quadroオンリーで動かしてみた場合、90Wは充電が出来ず、本当に電源供給だけを行っているようです。ゲームなんか始めようものならば、バッテリーから電力供給を始めてしまうので、結果的にガス欠しちゃって終わりです。当然ながら45Wは認識するものの供給量が追いつかないレベル、65WでならQuadroをしなければ電源供給できると言った程度です。
これがわかったあと、結局純正の135Wを2個買い足して、実家と出張先で使う用として使っています。
あと、当然といえば当然なんですけど、Thunderbolt3での電源供給は、65Wでも出来ないようです。カタログなどを見ると、純正パワーバンクで充電可能ということは書いてあるんですが、多分無理だと思います。
燃費...カタログスペックはどういう基準なんだろう?
カタログスペック上、最大10時間程度は持つと考えられていますが、実用的な液晶の明るさ(約60%程度)、上記スペックでは、ほぼ3~4時間程度です。もともと前提が持ち運び考慮ってレベルなので、やむなしと言ったところなのかなって気がするものの、実働時間との差が大きすぎるので、もう少しなんとかならんのか?というのはあります。
多分液晶などは消費電力は大差ないと思うので、そうなるとi5-9400Hが最大16時間、i7-9750Hで最大10時間という謎消費電力。コア数が2つ違うとして、TB込でも6時間も差が出てくるとは思えないんですよね。
あとはSSDが2枚入ってるからなのか、SSDのスペックがもっと省電力なモデルなのか、案外色々な条件が必要なんだろうかなって気がしますね。
まとめ:現代のスカイライン400RがPCになったら、おそらくこうなる
Lenovoが本気で軽さと性能を追求した、現代版ThinkPadの集大成
言うに及ばず、まず10万で4コアの実用的なPCが買えるご時世、ましてやゲーミングギアでもない、モバイルワークステーションがP1なら、X1 Xtremeはよく出来た高いだけのコンシューマーPCという扱いを受けてしまいます。これと言った特徴がないけど過剰なスペックのPCは、時代に合ってないないと思われてもしょうがないんでしょうね。
ちょうど同じ頃、日産が新スカイラインを発表したのですが、スカイラインとは奥の深い車で、下のクラスはちょっと高い大衆車、片や400Rのようにニスモチューンみたいなものまで販売されるんです。会社がごたついて元気がないとは思えない。日産は走りの楽しみを伝える上で、振り幅の大きい「スカイライン」でクーペやライトスポーツの世界を席巻したいって思惑もあるでしょうね。
なんども言うけど、ThinkPadはノートPC業界では究極のレガシーとして今も進化しつつ、こうあるべきと伝えていく。シンボルともアイコンとも思えるこれですが、それを脈々と受け継ぎ、守りながら新機能を搭載していくあたり、常に発展途上と言ったところでしょうかね。
余談ですけど、個人的にThinkPadへの苦言をするなら、種類が多すぎるのは問題じゃないかと思います。例えば14インチだけでも、dGPUを搭載したT400シリーズ(Intel/AMD)と、薄型軽量モデルX1 Carbon、そこにX1派生モデル、E14とE490、さらにLシリーズもありますね。自分に適したモデルを選べるとはいえ、上から下までの差がほぼない状況で、ここから違いを読み取って、適したモデルを選べというのは少々酷な話じゃないかと思いますけどね。それぐらい今のThinkPadは煩雑。LenovoシリーズやThinkBookみたいにもっとラインナップを絞って、X1 Carbon、T400、E400ぐらいでいいと思います。
25万のPCだからといって、スゴイ点はまずないです。ThinkPadでこれを作ったことがスゴイ点なので、そこにお金を惜しみなく費やせる人はいい選択肢だと思います。
よくMacBook Proを使ってたような方がX1 Extremeを買ってますけど、これはAppleのプロダクトじゃないんです。Apple好きならAppleにこだわって欲しいし、そういう方はThinkPadの良し悪しを、MacBookとの比較でしかわからない。少なくとも、同じ土俵に立つことが出来ないのに、立たせたがるAppleユーザーには、良し悪しはわからないはず。
本当にThinkPadが好きじゃないと、この金額のモノはダメな点も含めて、買って納得行かない。それぐらいの次元のモデルです。ゲームやるなら素直に25万のゲーミングノートでも買ったほうが環境的にいい。オフィス用途であれば、X1 CarbonにWWAN入れて連れ回すのもいい。E15やらE595なんかは据え置きで気分良くキーボードを叩ける環境にあってほしい。ラインナップを絞れと言いつつ、適材適所に置けるラインナップの広さも、またThinkPadだから出来てることなんでしょうね。
そして、P1は本職の画像処理や映像処理などを出先で行う必要がある方がメインターゲットだと思います。でも、僕の中では「打倒MBP」と高らかに叫びたいぐらいのモデルだと思います。OSが違えど、ソフトウェア環境が違えど、開発者はそこを無意識に考えて作っているはず。変化がわかりにくくても、ThinkPadという看板を背負う以上、下手なものは作れない、総じてハイレベル、粗探ししても、キーボードぐらいで、そのキーボードですら、普通に考えたらメンタルな部分なのでしょう。その他が全く身に余るレベルであり、非常に高い技術を使った、ハイエンドPCのお手本かつ、フラッグシップのThinkPadはこうあるべきと道を示したモデルでしょうね。ただ、今後これがラインナップに残るようなモデルかというと、ちょっと危ないだろうなって思います。
長年のThinkPadユーザーならわかってくれる、20年の移り変わりの中でThinkPadを使い続けて、やっぱりこうあるべきというのをしっかり維持できているからこそのレベル、出来だと思います。
最大の難点は、そもそも実物を見ることが出来ないことですかね。とにかく未だに山手線より外でこのPCを触れる店に入ったことがない。多分ヨドバシやビックの旗艦店にひっそりおいてあるぐらいなんじゃないかと思います。
おしまい