今回は、docomo with終了直前ということで、このレビューでは珍しいローエンドスマホ、SHARP AQUOS sense2 SH-01Lのご紹介。
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かんたんなスペック
Snapdragon S450 1.8GHz x8
メインメモリ 3GB
ストレージ 32GB
5.5インチFHD+(2160x1080、18:9)液晶(IGZO)
1200万画素(リア)/800万画素(フロント)カメラ
モノラルスピーカー、3.5mmイヤホンジャック
無線LAN 11ac対応(433Mbps※後述)、Bluetooth4.2(aptX対応)
指紋センサーあり(前面)
USB type-C端子
防水(IPX8)/防塵(IP6X)対応
nanoSIMスロット/MicroSDスロット
2700mAhバッテリー
148x 71x8.4 mm(縦/横/厚さ)、155g
Android 8.1

ドコモ版のLTEバンドは1/3/5/12/19、最大下り150Mbpsまで対応です。
キャリアによって異なりますが、B26/B41などにも対応出来るようです。すべてのバンドを使う場合は、一番いいのはSH-M08を買うことですね。


廉価帯のクオリティも上がったと感じた面白いポイント
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この機種を買う人は、あまりスマホに多くを求めないとは思うのですが、それにしてもガワはかなりいいと思います。一部にアルミ素材が使われているようですが、ほぼプラスチックのような感じです。本当の意味でのcheapであり、これは使う人への配慮と戒めのように思います。
良くも悪くも実用に耐えうるが、スマホとしてのアイコンを保持しつつ、どうやったら雑に扱っても問題ないレベルになるのか?をしっかり考え抜いたんでしょうね。結果として、無難な形でcheapになったと思うと、これはこれでいいです。
前面に回れば、流行りの18:9の5.5インチIGZO液晶が存在感を出しつつ、指紋認証センサーがアクセントになっています。これだけだとiPhoneのパクリだと思われますが、このセンサーはホームボタンになっていて、ジャスチャーでタスクボタンと戻るボタンをエミュレート出来るのはいいです。MeizuのmTouchと考え方は一緒ですが、画面上のボタンを表示せずに、5.5インチをまるまる使えるというのは、最近のスマホでは珍しくなってきたんじゃないかな。
このあたりは、foxconnグループになったことと、今でもIGZOの技術をしっかり使い続けていることが功を奏した感じだと思います。


スマホとしての性能は、どう頑張っても廉価版
一方、性能面では非常に厳しく、S450搭載としては非常にスタンダードな3GB/32GBという仕様、カメラも1200万画素あり、メモ程度の画像を撮るには十分。これは普通に使う分にも、若干引っかかりを感じたりします。Androidがチューニングされているとはいえ、ちょっとした途切れた動作にストレスは溜まる感じです。S450だったり、eMMCのストレージだったり、これがハイエンドギーグの弊害か...。

しかし、これ以外にも足を引っ張るのは11acとLTEの遅さにあるのではないかと思います。特に感じるのはWiFi環境時での、通信によるアプリやブラウザのロード時間で、LTE環境ではそこまで感じないロード時間が、WiFi環境では特にイライラ来る感じ。11acはW56のチャンネルに対応していないのか、その帯域のAPは拾えません。1x1での接続なので433Mbpsまで。当然11nなんかもそんな感じなので、150Mbpsまでなのかと思います。
普段、11acはだいたい2x2の867Mbpsで利用しているので、片方のチャンネルが駄目でももう片方のチャンネルでうまいこと433Mbpsを確保してるんでしょうが、1ストリームではそれも難しいのではないかと思います。LTEが安定して実用レベルなのは、どこかしらかに接続出来てて、そこから安定して受信できるという話なんでしょうね。

bluetoothもコーデック的には対応可能なものの、aptX止まり。イヤホンジャックはあるとはいえ、音楽再生なども、SDカードからハイレゾ音源を再生するまでの若干の間みたいなのがあったり、全体的な処理不足があります。ふと思ったのは、Androidが搭載されてるFiioやHiby、iBassoのオーディオプレーヤーはなぜそれでも問題なく再生出来ているのか?という疑問はありますね。

当然、ゲーム用途にはまるで向いていません。ツムツムやポケGOぐらいなら問題ないでしょうが、比較的軽いと思われるスクフェスでのロード時間に関してでも、S800より遅いんじゃないかと思えるぐらいです。

電池持ちは素晴らしいの一言。おおよそ実用ベースで3日ぐらいは持つと思われます。気になるのは省電力モードになると、バッテリー消費が激しくなる感じがあること。多分、電池持ちを最優先にするゆえ、スタンバイごとに機能への電力供給をカットして、スタンバイからの復帰で電池を使ってしまっているのかなあと思います。ただ、省電力モードにしなければいいことですし、通常モードで3日ぐらい持つのであれば、そもそも省電力モードにする必要はないかもしれません。


一点、どうしても気になる点があるんですが、スマホ背面のおさいふケータイのマークの上あたりの筐体に縦筋が入っていて、ドコモやSHARPではこれを仕様と言っている点です。ドコモショップ経由の問い合わせでは、ドコモサポート、およびメーカーの見解として、問い合わせにはこう答えるというマニュアルが内部にあるらしく、ドコモ向けに出荷されているすべてのSH-01Kはこのようになっているという認識だそうです。(ちなみによくあるドコモショップからコールセンターに問い合わせた場合は、購入方法によって対応が異なるとのこと。今回はここでショップ側がサポートへ確認を取ってくれたので、仕様ということが分かりました。)
メーカー出荷時にはこの上にシールが貼ってあるため、実はあまり気づかれていないようで、コールドモックにはなく、ホットモックにはあるため、実機レベルでなにか仕様変更が合ったのだと思いますが、位置が位置だけに、人によってはものすごく気になると思います。その状態で出荷されてしまっていることも気になるのですが、なんの原因でこうなっているのか?というのは、どこかで明記すべきじゃないかと思います。


まとめ、即座に売るには惜しいが、ストレスを溜めてまで使うほどでもない
良くも悪くも日本のメーカーという点が光る一台です。長く使い続けるかどうかはさておき、スマホとしての最低限は抑えており、致命的な問題もないため、売るほうにとっては非常に勧めやすいモデルだと思います。さすが本当に売れているAndroidスマホだなと納得はしました。
使ってみると割といいところもあるんです。あるけど使い続けるうちにイラッとくる。こういうクラスのスマホをあまり使ったことないのもそうなんですけど、さすがにSHARPが作っていて、IGZO搭載というだけで売っていくには、現実的なスペックも含めて、非常に厳しいと言えます。

動作に対してストレスを溜めるというのは、個々の判断になるとは思うのですが、やっぱり精神衛生上よろしくないのと、気持ちが離れる要因となってしまうのは間違いないかなと思います。たかが3万程度の端末なんだからしょうがないと考えるべきなのか、同じ3万ならHuaweiを買うと考えるのかは、非常に判断しにくいところです。
言わば、日本のメーカーから出ているという点ぐらいしか売りがなく、そこにアドバンテージをまだ持っている世間一般を利用して売っているぐらい、実に曖昧なものが人気を支えているということをSHARPはある程度認識した上で、こういうモデルを確信犯的に出しているんでしょうね。ゆえ、AQUOS ZEROやAQUOS Rシリーズが際立つ要因ともなっているのでしょう。

結論がなかなか出せないのですが、一括で買って即座に換金するにせよ、使うにせよ、値段相応か、それ以下のものにしかならないという点は一応念押ししておきます。そして、ハイエンド志向の人間はこういうスマホを手にしてはいけないという点も、改めて思ったのでした。






おしまい