今回は、Nubiaのゲーミングブランドである、Red Magic Mars NX619Jをご紹介します。

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かんたんなスペック
Snapdragon 845 2.8GHz x4+1.8GHz x4
メインメモリー 6GB
ストレージ 64GB
6インチ FHD+液晶(2160*1080)/2.5Dガラス
無線LAN 11ac(867Mbps対応)/Bluetooth5.0(LDAC、aptX HD対応)
1600万画素(リア)/800万画素(フロント)カメラ
指紋認証センサー、USB type-C端子、イヤホンジャック
nanoSIMスロット x2(DSDV対応)
3800mAhバッテリー
158.2 x 75 x 9.9(最厚部) mm 193g
Android 9.0/Redmagic OS 1.6(※グローバルROMのため現在一部機能に制限あり)

LTEバンド対応は公式によると、
1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/25/26/28/30/34/38/39/40/41/42/66
日本ではどうか知りませんが、CAT18により、最大1.2Gbpsのダウンロード対応しています。
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docomoのSPモードでVoLTEの動作確認。(自己責任)

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DSDVは両スロットともCAに対応しているようです。


S855搭載スマホまでのつなぎにして、あわよくば長期政権を視野に購入
雑記blogで書いている通り、2018年はS835だけで乗り切ってしまった。これはデジタルガジェット好きとしては、あるまじき行為ではないかという話もありますが、現実に欲しいモデルがほぼなかったというのがもっともらしい理由です。
まあ、年明け早々にXPERIA XZ2 Premiumを買うわけですけど、これが思った以上に重く、日常使用には適さないこともあって、残念ながらもう使っていません。

個人的にはS835でもパワー不足を感じることはなくとも、置き換え前の1年以上使っているnubia Z17Sだとやはりバッテリーの持ちが悪くなってきたこともあり、もう一台買ってみようかという流れになりました。

当初はnubia Xかなとも思っていたんですが、単純にRed Magic MarsのほうがLTEバンド的に国内で使えそうなこと、グローバルROMがそのうち出そうなこと(後述)、あと100ドル以上安いというのも大きなポイントでした。
AliExpressで407.99ドル。珍しく今回は税金もかかっており、到着時に2,300円ほど払いました。


派手な外装に、極めてパフォーマンスを追求した中身
まず、この手のモノは派手なボディデザインをしているわけですけど、スマホの前面はさしたる派手さはありません。特にノッチやドロップタイプのフロントデザインを採用しているわけではなく、いわゆる2017年後半に液晶のアスペクト比が広がってきた時代の、iPhone X前夜のデザインに非常に近い感じです。
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背面は、典型的なゲーミングギア感。現在では珍しいシングルカメラと、上下左右に対象に並べられた冷却スリット、指紋認証センサーの下はイルミネーションバーという感じです。
本体内には銅製のヒートパイプが入っており、スリットより自然吸気で冷却できるという触れ込みです。ボディがすでにアルミニウム製なので、もともとの冷却能力も高いですね。
面白いことに、スピーカーは下面にモノラルで付いていて、通話用スピーカーとセットでステレオとして動作しているようです。iPhoneのステレオスピーカーのような感じですね。そして上面に3.5mmイヤホンジャックがあります。

左側にはGame Modeに切り替えるスイッチがあり、Red Magic OSという横画面のUIが起動します。
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並べられるゲームは任意です。ベンチマークソフトなども並べることが出来ます。

右側はスタンダードに音量ボタンと電源ボタンです。


S845を搭載しているスマホの割に、なぜかNFCがなかったり、カメラもシングルで1600万画素と今どき廉価帯でも見ないような不思議なスペックです。
とはいえ、ゲーミングスマホというのは、基本ハイエンドのSoCに大容量メモリ、高速ストレージ、それと高速ネットワークがあればOKなので、そこさえ押さえれば問題ないのでしょう。


GoogleサービスがないChina ROMと、フル機能が実装されていないグローバルROMと
さて、このレビューを書いている時点では、このスマホには4つのROMが存在します。
  • 欧州圏向けROM(グローバルROM)
  • 北米向けROM(グローバルROM)
  • 中国ROM(China ROM)
  • ショップROM(ChinaROM + gapps + root)
大体の場合、AliExpressやギアべなどのショップROM、もしくはChina ROMをブートローダーアンロックをした上で、TWRP→gapps→root化という流れで、おおよそ困ることはないんですが、この場合、FGOを始めとするroot化NG判定するゲームはできなくなってしまうという大きな問題が出てきます。
その他、徹底されたバッテリーセーバー(NeoSafe)の関係で、アプリの通知が来ないなど、細かい問題も多々あり、それもあってか結局のところ一部のゲーム専用機という立ち位置になり、バッテリー問題もあって、2台持ち原理が出てくるわけです。

一方で、欧米ではRed Magicブランドを全面的に押して行くこともあり、これまでのNubiaブランドモデルと同じように、グローバルROMも登場することになりました。
こっちもベースは基本同じような感じなのですが、Redmagic OSのローカライズが全く出来ていないこともあり、どちらかというとAOSPに近い仕様になっています。具体的には、
  • Game Modeの機能、ボタンなどが一部しか使えない
  • DTS:X等によるオーディオエフェクトが実装されていない
  • ステレオスピーカーがアプリによりモノラルになったりする
  • 一部ベンチマークなどでとてつもない低い数値が出る
  • SIMの2スロット目で通話が出来ない(不具合)
例えば、Game ModeはChina ROMの場合、以下のような感じになります。
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先程のグローバルROMとはかなりコンフィグ周りが違います。
まあ、これは単純に見切り発車という可能性もあるし、実装されなくてもそれほど問題ないものなのですが、その一方で疑惑となるベンチマークスコアなども見られます。
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これがショップROM(China ROM)のAntutuのスコア

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で、これがグローバルROMのスコアです。

後述しますが、GeekBench、3DMarkではスコアはほぼ一定のため、疑惑として、意図的にAntutuなど一部のゲームやベンチマークに対して不正処理などを起こしていないか?という可能性があります。
GPUスコアが1/2になるというのは、いくらROMが未完成とはいえ、前代未聞だと思うんですよね。でもゲームに問題があるか?というと、XPERIA XZ2 Premiumよりキビキビ動くという感じもあったりして、謎が多いままです。

グローバルROMとChina ROMの両方ともダウンロード可能で、本体にROMイメージを移して、リカバリーとフルワイプするだけで、それぞれのROMになってしまうのはでかいです。
ブートローダーアンロックをしなくていいし、通知なども含め基本的にほぼ素のAndroid 9.0を使え、日本語ローカライズも大半がされている点では、敷居の低い海外スマホかなと思いますね。

やり方は、
  1. ROM(update.zip)をダウンロードする
  2. USBメモリで本体にROMを移動させる
  3. 電源を切り、音量-と電源を同時押ししてリカバリモードを起動させる
  4. リカバリーより、メニューに従ってさっきのROMを選んで上書きする
  5. 上書き完了したら、DATA Wipeを行い再起動する
かつてないほど簡単だった。



納得のパフォーマンス、上々の出来
とりあえずベンチ結果。
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このあたりは他のS845搭載スマホと大差ない感じですね。

ゲームはとりあえずグローバルROMで以下のゲームが動いています。
  • ラブライブ スクールアイドルフェスティバル※
  • バンドリ ガールズバンドパーティ※
  • アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ
  • アイドルマスターシャイニーカラーズ(enza版/アプリ版)
  • 魔法科高校の劣等生 LOST ZERO
  • 刀使ノ巫女 刻みし一閃の灯火
  • ときめきアイドル(2.0 ローカル版)
  • マギアレコード※
  • きららファンタジア※
  • ハイスクール・フリート※
※は国内外問わず、端末情報やroot化により動作しないことがあるゲームです。

先に書いている通り、素のAndroid9.0に近いものが入っていることもあって、非常にキビキビ動きます。Redmagic OSの仕様で、ドロワー一覧が5*4しか選択出来ないのが不満なぐらいです。大した問題ではないですね。
6インチのFHD+液晶はJDI製で、四隅が丸くカットされているものの、片手で操作するにはギリギリ行けるサイズです。確かに上下ベゼルは今のスマホとしては分厚いと思いますが、ノッチデザインなどのようにゲームやコンテンツでの余白が出ないのはメリットです。
重さも193gと、今のスマホではしょうがない重さではありますが、XPERIA XZ2シリーズほど丸いラウンドタイプではなく、最近のスマホと同じくそこそこの厚みで、持ちやすいです。
サイズもそうですけど、全体的に本体の密度があまり変わらないような感じで、どこを持っても同じような重みなのは、今時珍しいかもしれないですね。

bluetoothはLDACやaptX HDなどにも対応し、WH-1000XM3ではLDAC接続出来ます。開発者オプションから任意にコーデックを強制することは出来ないようです。→aptX系はどうも対応してない感じです。
3.5mmのイヤホンジャックは現状DTS Headphone:Xなどのエフェクトはないですが、ノイズなどは特になく、そこまで駄目な感じではないです。


DSDV(デュアルスタンバイ・デュアルVoLTE)にも対応しています。ドコモ/ドコモのパターンか、ドコモ/ソフトバンクのパターンで可能となっています。(ソフトバンクは周りにテストできる環境がないため、VoLTEの確認しようがない)
au VoLTEは通話/通信ともに利用できない感じですが、SIMを挿しても電話番号が出てくるだけになっており、他の海外スマホよりは可能性はありそうです。
→au VoLTEのSIMに関しては、通信/通話が可能です。ただ、単体使用のみ可能という感じですね。4636コマンドで「LTE only」にすると、多少はネットワーク接続しやすくなるっぽいですね。

S835ではついに登場することがなかったDSDVでしたが、今回メイン回線をVoLTE通話で運用しつつ、MVNOにデータ通信させることが安定して出来るようになったので、2台持ちからもついに開放されつつあるという感じです。VoLTEを一度味わってしまうとどうしても3Gには戻しにくいんですよね。
ただ、通話はスロット1、通信はスロット2に固定しておくことがどうも絶対条件っぽく、キャリア問わずスロット2で通話することはなぜか出来なかったことも付け加えておきます。


まとめ、特徴は特にない、ゆえにゲームデバイスになら最適な1台
大雑把に言えば、ゲームをプレイするためだけに成り立っている存在です。
基本的に今のスマホは、ハイエンドであればあるほどカメラやAI機能などを売りにし、オールインワンパッケージとしての質を高めていますが、Red Magic Marsは必要なところにだけハイエンド性能を搭載し、その他の機能はほぼ捨てているような感じです。
冷却構造やアルミニウムボディなんかを見る感じ、安っぽさもないですし、赤だから目立つだけで、黒ならイルミネーションが付いていなければ、派手さもないです。3.5mmイヤホンジャックもあり、bluetoothもLDACまで実装されているとなると、オーディオデバイスとしてもなかなか優秀です。
カメラが...とはいえ、ツインカメラのような仕上がりにならないだけで、性能的には1年前のモノになるIMX519ですので、そこまでひどい絵にはならないです。あとmicroSDでの拡張が出来ないのもちょっと残念かもしれません。使えればオーディオまで統合出来たかもしれないです。

あとはLTEバンドの豊富さ、保証対象外ながらドコモのVoLTEが使えるという点は大きなメリットです。auと楽天に関してはもう少し調査が必要ですが、ドコモとソフトバンクではほぼフルサポートしているので、MVNOやワイモバイルなどの使用でも十分使い切れると思います。

価格はオフィシャルサイトでは6GB/64GBが399ドルから。AliExpressやGeekbuyingなどではプレミアム価格ではありますが、そこまで高くもない410ドル程度からあるようです。
まあ、今となってはS855搭載モデルには絶対的なパフォーマンスで劣るとは思いますが、ゲーミングスマホが5万円以下で入手可能という点では、いい選択肢ではないかなとは思います。
自己責任とはいえ、ここまで価格も敷居が下がっているなら、セカンドスマホとして、あるいはゲーム専用スマホとして面白いかもしれません。

余談だけど、8GB/128GBはオフィシャルサイトで449ドルなんですが、転売系では軒並み500ドルオーバーなんですよね。これを考えると、やっぱりRed Magic 3まで待つべきなんだろうなと思いつつ、やっぱりハイエンドモデルを買うときは使わなくとも上位モデルを買うべきだなと思いましたw
俺は相当お気に入りです。nubia Z17Sの置き換えにふさわしい存在だと思っています。




おしまい