今回は久々スマホ以外のレビュー。
twitterでいろいろ愚痴というか、文句ばっかり言ってると思われるのもアレなんで、持ち上げレビューです。というか、持ち上げる必要性なんか一切ないんだけど。

SHANLING AUDIO M0の実機レビューです。
(念の為、2018/07/18時点、FW V.2.1のレビューです)


iPod nanoっぽいのにLDAC対応、しかもSabre ES9218P搭載

昔、3年ぐらい前だと思うんですけど、SHANLINGのH3というヘッドホンアンプを買いました。これの優れたところは、ヘッドホンアンプとしては平凡だけど、aptXに対応していて、スマホやオーディオプレーヤーをいい音で聞きたい、そして当時最新鋭だったES9018K2Mを搭載していた点で、運良く入手できたという感じです。
残念ながら使う機会もそれほど多くなく、LG V20 Pro、そしてNW-A45、そして本格的なBluetooth時代へと突入していくわけで、サイズ的に普通のポータブルDAC(スマホ1台分)ぐらい、しかもスマホやDAPにもカタログスペックでは負けてしまったH3は売ることになってしまったわけですけど、SHANLINGの作るオーディオ機器は、割といい印象があります。

で、「お前NW-A45あるのになんで買ったの?」の明確な答えは、
  • サイズの小ささ
  • LDACレシーバーとして使えること
  • Sabre ES9218Pという比較的新しいDAC搭載
という3点です。aptX HDは捨てた形になりますけど、LDACに対応しているのであればaptX HDもコーデック追加できると思うんよなあ。まあできてもできなくても、そこはそんなに支障ないだろうと思い買っています。

ESSのDACを搭載しているというのは結構大きなポイントで、Amazonで安売りされてるCovia ZEAL EDGEなんかをOTG経由でつなげて音楽を聞くと、ESS独特のアナログ感、なんというかぼわわ感が出て好きなんですね。
個人的にはEDMとか、高音を気にするような音楽を聞く割に、鋭い音には敏感という結構厄介な仕様の耳でして、そのへんはイヤホンやヘッドホンでも決まるんですけど、小型なので、まあ別にワイヤードイヤホンでもいいよね的な感じで買ってます。

で、サイズ。
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ぶっちゃけ、リングのサイズを見ればわかるでしょうけど、小型過ぎてなくすのにもかかわらず、立派な合成皮のケースが付いて来たわけです。個人的にはストラップホールがないことにに大きなマイナス点があります。これは本体でも、ケース側でも良かったんですけど、ポケットにポンって感じではなく、操作したくなるサイズなので、作ってる時点で考えてほしかったというのがあります。

で、ワイヤードでの音ですが、MDR-1Rでは非常に忠実な音が出てきますね。音の良さというより音の再現度という点では、ウォークマンはきれいにデジタル処理をしちゃってる感じの音がするんですよね。別に悪いことじゃないですよ。
ESSのDACは、そのへんをマスタリングせず、忠実に出している感じ。多分ライブ・アルバムなんかを聞くとわかると思うんですけど、いやにきれいに聞こえて、ライブ感が薄れるような感じがあるところを、うまいことスルーしてるのかなと思います。こればっかりは好みの問題だと思います。
そのためもあってか、イヤホンであれば、ダイナミックドライバー+バランスド・アーマチュアドライバーのハイブリッド型が、環境としていいと思いますね。
XBA-300だとBAドライバー3基ということもあってか、イマイチ迫力に欠けるような感じもありますけど、もともとダラダラ聞く用なイヤホンなので、それはそれとしてまあ問題なしと。XBA-300が好きなのもありますけど、本当にどんなスマホやDAPとも合うなと思いますね。
ここでオーディオ沼特有のZODIC ZO6255という2DD+2BAというイヤホンがなんか転がってたんで、こっちで聞いてみると、これが没入感すごい。上から下までまんべんなく音が出ますね。もともとイヤホンそのもののポテンシャルは高いと思っていましたが、割とこのレベルなら鳴らしきれますね。組み合わせやイヤーピースにもより、一概には比べられませんが、一昔前のXBA-H3より音ははっきりとしているんじゃないかと思いますね。個人的にはXBA-300よりは、こっちをつなげて聞いています。
あと、これはAKGという好みの問題ではあるんだけど、K391NCという相当前のイヤホンで聞くのも悪くないですね。これがあって、最近またN40を買おうか悩む。


大きな課題、bluetooth問題など、DAPとしてクリアできない点
まず、LDACやaptX、AACなどコーデックを選べる点、これはAAC警察として役に立っています。

一応、V2.0で直っていた点もあったんだけど、V2.1になって再発しているので、全部書きます。
さらに深刻なのは、bluetooth接続がイヤホンによって挙動が異なる点です。例えばやり玉に上げるMEESのM1。これを接続すると、なぜかレシーバーモードで接続されるんですね。何が厄介って、接続したあとに一度接続を切り、再度手動で接続しないと音楽再生まで行かないという点です。
他のデバイスでは、自動接続が絶望的にできない点。多分50回ぐらいやってると思うけど、3回ぐらいしか自動接続したことがない。
で、仕方ないので自分で手動接続するんですけど、このあとメインメニューに戻り、再生中の曲を表示しようとすると、強制的にマイミュージックのメニュー内容になり、音量ボタンダブルクリックで再生/一時停止を選択している場合、その曲だけを延々と再生するようになってしまっています。
んで、レシーバー機能も、主導権はスマホ側ではなくM0側にあるようで、例えばHTC U11のようにLDACに対応していても、AACにしか接続できなかったりとか、結構制約はあるようです。
公式にはLDACとSBCにしか対応してないようですが、上記のとおりAACでも接続可能なようです。

また、MDR-1000XとMUC-M1BT1、XHA-9000では起きないで、他の完全ワイヤレスイヤホンで起きる問題として、特定の音楽ファイルのみ、なぜか片側のイヤホンでは再生されない現象が起きます。音楽ファイルに規則性がないため、何が原因なのかがよくわからないんだけど、一番製造基準の高い、WF-1000Xでも音が出なくなるということは、やっぱりM0側の問題だと思ったりします。困ったことにAACだけではなく、SBCでも起こる現象です。
ちなみに、ならなくなる片方というのもばらついていて、必ずしもM0と接続している方だけ鳴るわけでもないという、いわばイヤホン内でのパススルーは問題ないけどそこに音が伝達されていないという。
例えば左側イヤホンがM0との接続をしている場合、本来右側イヤホンが聞こえなくなるのはよくあることなんだけど、左側イヤホンが聞こえなくなって、右側イヤホンからは音が出てるという珍妙な光景にも結構遭遇しています。10曲再生すれば必ず1曲ぐらいはこうなる感じ。


レジューム機能もかなり怪しく、再生→数曲後に一時停止→オートで電源が切れるようにしておくと、電源を入れたとき、最初に再生した曲がレジュームされてたり、そもそもレジュームされなかったり、まあ、3000曲近く入ってるのでそのへんは目をつぶりますけど、なんかイマイチなんだよね。

そしてサイズ相応の、Bluetooth再生時間がおおよそ5時間以内であること。まあ、片道5時間ということはほぼないのですが、少なくともMDR-1000Xより先に電池が切れるのは間違いないですね。

そのほか、プリセットされてるイコライザーが、ほぼ全てフラットより音質を悪くしてしまっていて、何の役にも立たない点や、起動時の音量設定などがたまにリセットされる点など、全体的にブラッシュアップができていない印象が強いです。ポテンシャルの高さが制御ソフトで完全に悪い印象を与えているのは間違いないですね。


まとめ:今後の改善点が異様に多いが、このサイズで出したことに敬意
カジュアルなDAPとして15000円程度でこれが買えてしまうことには、ちょっと驚きです。悪い点が非常に多い反面、ハードウェアとしての完成度は高く、もっとソフト側をシンプルにするだけでも、だいぶ印象が違うと思います。
SHANLING側がどっちを目指しているのかわかりませんが、今の状態はBTレシーバーとしてもオーディオプレーヤーとしても中途半端で、使い勝手が両方共悪いという悪循環を生んでいます。例えばレシーバーモードという項目を別途用意して、スマホ側のBT接続プロファイルはそっち側で持つ、あるいはそのモードじゃないとレシーバーとして起動しないというふうにするとか、それだけでずいぶん使い勝手が変わると思うんですよね。
あとは細かいソフトウェアのバグの多さと、bluetooth自動接続のあまりの不発っぷりは大きな課題として残っていますが、正直なところ、これより小型なDAPがないというのが最大の武器なので、そこに価値を見いだして、15000円払えるかどうかというところ。
もちろんmicroSDで容量拡張はできるので、2万程度で128GBのDAPが手に入ると考えると悪くはないですね。

ただ、現状NW-A45を売ってこれを買ったことに後悔はないんですが、Fiio M7という、DACこそ一世代前ではあるものの、aptX HDとLDACに両対応した、そこそこ軽量なDAPが出てるんですよね。これをどう考えるか。2万ぐらいまでM7が落ちてくると、非常に悩むところではあります。
さらに言えば、bluetooth接続のプレーヤーだけならスマホでもほぼ大差ないわけで、この辺とどう棲み分けをするか。明らかにワイヤード派であれば問題ないけど、音楽は音楽で専用デバイスという人でもない限りは、そこまで無理して買う必要性(特にBTレシーバーとして期待して買うなら)はないです。

あとは、今後のSHANLINGのファームウェアの出来次第ってことになるとは思いますけど、BTレシーバー、USB DAC、DAPの機能を持っているという点では、今の所唯一無二ということになりますので、いろいろな使い方をしたいという人は、購入をおすすめしようと思います。




褒めてないな。M0をこんなにけちょんけちょんにしてるレビューとか自分でも見たことない。
その分今後の伸びしろ、期待値が高いということを分かって欲しいかなあ。




おしまい。