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買っちった。

今回は、今微妙に盛り上がってる、FiioのFW5の実機レビューを書いていきます。

待望のLDAC対応、ただし条件ありでの環境下
 というわけで、6月の頭あたりからすでに出ていた話ではあるんですけど、Fiioの「UTWS5」と「FW5」の2種類のTWSイヤホン(UTWS5はアダプターだけど)に、ベータ版のファームが登場しました。
今まで、Fiio自体もそこは積極的にLDAC対応を目指してファームを作っていた感じでしたが、LDAC実装に対して、Snapdragon Soundの対応と、TrueWirelessミラーリング技術を使っての実装ということになったとのリリースがありました。まあ、HibyがWH3でLDACに対応させようとした際には、片側のレシーバーにLDACで接続し、それをもう一方に送信するような方式であった可能性が高かったこともあり、汎用性では確かにそっちのほうが上ではあるんですけど、今回のFiioの対応に関しては、その辺を別の技術でカバーしつつ、使用デバイスを限定させるというのがポイントです。
一方で、対応するスマホも、S778G、ないしはS888以降のSnapdragon Sound機に限るということで、非常に条件は厳しいが、それを乗り越えたユーザーは利用が可能になるという仕組みになります。意外とS695あたりが対応してなかったりするのには、ローエンドの宿命かなと思ったりしています。
今回は、特に断りがない限りは、XPERIA 5 IVでの接続にて、LDAC動作(ベストエフォート)をさせたときの動作を前提に考えてください。イコライザーはオフにしています。また、イヤーピースは日本ディックスのCOREIRを使用しています。

2基のBAドライバーと10mmのダイナミックドライバーによる高音質が心地よい
ざっくりとした感想として、AK4332搭載という点、さらに2種類の他ドラを採用していることもあり、個人的には音質は満足行くものであります。構成だけを見ると割とドンシャリサウンドを想像してたんですけど、ほぼまんべんなく音が出ている感じ。諸事情でWF-1000XM4を売ってしまった関係で、これを買ったという話なのですが、ANCがなくなった変わりに、優等生的な音を出すXM4に比べると、音のメリハリはかなり出ています。意外に高音域に刺さりがない、非常に上品な聞かせ方をしています。
カテゴリは若干異なりますが、XBA-300を使っていると感じる「音で疲れることなく、ダラダラと聞き続けることができる」というタイプのイヤホンです。XM4比較になるのは申し訳ないですけど、あれは短時間のANCを利用することで、ある程度の音質をカバーしてたと思うのですが、音の出方は大雑把な感じがしていました。また、短い通勤時間であることを考慮した場合は、ほぼ無双なのだとは思います。その点、FW5は1音ごとに非常に綺麗な音を出し、かつ耳への負担は軽いという、矛盾を感じるようなものになっています。幸い、イヤーピースにによるパッシブノイズキャンセリングでも十分に感じるので、その点は不問かなと思います。
N5005に比べると音の細かさなど、さすがに負けてしまう部分はありますが、UTWS5は案外かさばるのと、ワイヤードとして音を出すほうが、やっぱり合っているところもあるので、お蔵入りとはいいませんけど、こっちはこっちでなにかいいイヤホンないかなって思ったりします。

気になるボタン配置、LDACでも音飛びは最小限
イヤホン両方に、ボタンが2つずつ配置されています。イヤホンを付ける時になんとなく触ってしまうことが多く、あとはボタンの無効化が出来ないのが若干不満です。まあ、それほどなにか問題になることはないです。
注目のLDACですが、山手線に乗って使う分には、車両にによって異なるところはありますけど、それほど音飛びはしません。XM4比較では、さすがにXM4のほうがいいんでしょうけど、個人的にはこの辺はLDACで接続している以上はしょうがないのかなとも思っています。
あとは、10m程度なら全然転送が問題なく続くというのも大きなポイントかなと思っています。
一方で、一旦音声が乱れてしまうと、接続し直さないといけないというのもあり、そこには課題を残しています。安定して接続して聞く場合は、やっぱりaptX Adaptiveになってしまうかなと思ったりします。そういう点で、どっちがいいかというのは、正直悩ましいです。

まとめ、非常に高いレベルで利用可能なTWSイヤホン
大体の人の場合、ANCがついてないことに不満を持つユーザーが多いんじゃないかなと思いますが、それをあまり感じさせない音の良さ。そして使っていて疲れないのは、結構大きいかなと思っています。まあ、音圧レベルがそれほど高くないのでは?とも感じるかもしれませんが、ダラダラと音楽を聞きながら作業することが多い僕には、非常に合うかなと思っています。
LDACの場合、XPERIA 5 IVではDSEE Ultimateが利用可能というところで、ソースが160Kbps程度のMP3でも綺麗に鳴らすことができる。これがどれだけすごいかというところですね。

音質を重視しつつ、ある程度の予算が出せるというのなら、FW5はオススメです。LDACでなくても、aptX Adaptiveにも対応しているため、最近のAndroidスマホでなら案外使える機種は多いと思うので、存在は面白いと思います。ただ、ベータ版が正式版になったところで、転送方式はおそらく変わることはないので、S888やS778Gなどを搭載したスマホを持ってる人が迷っているのであれば、正式版のファームが公開されてからでも遅くはない。あとは、ANCが当たり前の価格帯で、音質に魅力を感じるかどうか、その辺を考慮したほうがいいとは思います。

ある程度の価格帯のハイブリッドドライバー搭載TWSイヤホンとして完成度が高いので、満足できるモデルであるとは思います。本当に惜しいのは、これでANCがついてないことだけど、音質の良さがそれを全て打ち消してくれると思います。


おしまい